No.36 湯野風穴種子貯蔵施設遺構

ゆのふうけつしゅしちょぞうしせついこう

番号 No.36
登録年度 2019年度
認定対象 湯野風穴種子貯蔵施設遺構
分類・形式 林業跡地
成立年代 1949(昭和24)年頃
所在地 福島県福島市飯坂町湯野
所有・管理者 林野庁 関東森林管理局 福島森林管理署

太平洋戦争の戦後、造林未済地への植林は喫緊の課題であった。しかし、林業用苗木の不足が著しかったため、 国有林も 1947(昭和 22)年以降、民需用苗木の養成と種子の払い下げを活発に行った。しかし、林業用種子に は豊凶があるため、優良かつ安定的な苗木生産のためには、豊年に採取した種子を発芽力抑制のため低温環境で 貯蔵できる施設が不可欠であった。

天然の冷風を得られる風穴は、以前より蚕種等の貯蔵に利用されていた。養蚕業の衰退により遊休施設となった ものを転用するなどして、風穴利用の林業用種子貯蔵施設は各所で活躍したが、電気冷蔵庫への代替などによっ て姿を消していった。

1949(昭和 24)年ごろから運用された湯野風穴種子貯蔵施設も、蚕種貯蔵庫を転用したものであり、福島県内 の林業用種子貯蔵における主力施設として機能していたと考えられる。財産登録上は 1967(昭和 42)年に撤去 されており、非常に長期間に渡って活躍したとまでは言えないものの、ほぼ完全な形で現存している貴重な事例 である。また、天井まで空石積構造で構築されるという希少な構造も持つほか、種子保存容器と保存種子、書類 や写真等の関連資料が現存する点も意義がある。

風穴という自然資源を合理的に産業利用した事例であるとともに、戦後の活発な林業用種苗事業の歴史を今に伝 える貴重な遺構であり、種苗関連施設として初めて林業遺産に登録されるに相応しいと判断された。

日本の林業遺産を知ろう!:湯野風穴種子貯蔵施設遺構

  • 全景

  • 内部の状況

  • 現役時の杉皮葺き屋根と内部木製棚

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