Journal of Forest Research Vol.28 No.1(2023年2月)
種類: 原著論文/Socioecnomics, Planning, and Management
Title: Landscape assessment of forest trail using geotagged visitor employed photography: the case of the inariyama trail in the Takao Quasi-National Park, Tokyo
巻頁: J For Res 28 (1): 1-10
題名: ジオタグ写真投影法を用いた明治の森高尾国定公園稲荷山トレイルの風景評価
著者: 水内佑輔
所属: 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林生態水文学研究所
抄録: 来訪者の風景の好みをエビデンスベースで理解することは、全体的な森林計画・管理にとって重要であり、空間情報技術の活用はその助けとなる。本研究では、明治の森高尾国定公園内の稲荷山コースにおける風景的ホットスポットの位置と好ましい風景タイプの特定を行った。ジオタグ写真投影法を用い、登山道の歩行中に好ましいと思う写真を撮影させ、撮影された写真を5つの評価指標・5段階の評定尺度によって評価をさせた。その結果、60人の調査参加者から、ジオタグ付き写真900枚が収集された。その後、GISによる空間分析を行い、Getis-Ord Gi*統計を用いて風景的ホットスポットを特定した。また、平均分析(ANOM)と分散分析(ANOVA)によって、好ましい風景タイプの把握を行った。本研究の主な結果は以下の通りである。1)目立つ風景や空間的変化から構成される7つの風景的ホットスポットが特定された。2)眺望タイプと見上げ景タイプが最も高く評価された風景タイプであった。これらの結果から、これまでの風景評価研究では着目されてこなかった見上げ景の重要性が明らかになり、また風景的ホットスポットは眺望のような目立つ風景だけでなく、空間的な変化にも影響されることがわかった。このように、本研究はGIS技術の応用により、レクリエーションと他の利用を調和させた森林風景の計画・管理に向けた有用な知見が得られた。
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2022.2117091
種類: 原著論文/Socioecnomics, Planning, and Management
Title: Sustainability analysis of the Munessa- Shashemene dry Afromontane natural forest from local communities’ perspectives
巻頁: J For Res 28 (1): 11-18
題名: アフロモンタネ乾燥域におけるMunessa- Shashemene 天然林を対象とした地域コミュニティの視点からの持続性に関する分析
著者: Gemedo Furo, Kedir Tifo
所属: Ethiopian Environment and Forest Research Institute, Hawassa Center, Ethiopia
抄録: Assessing attitudes and perceptions of local communities is a crucial step in forest management and planning that can have major consequences for sustainability. However, empirical studies on sustainability analysis from local communities’ perceptions are scarce especially on the Afromontane forests. Therefore, this paper analyzes the sustainability of Munessa-Shashemene dry Afromontane natural and plantation forests from local communities’ perceptions. The data were collected from randomly selected 200 households, five key informants, and six focused group discussions. The results revealed that the majority (85.5%) of respondents influenced the sustainability of the Munessa-Shashemene dry Afromontane natural forest based on the current forest product utilization trends and perceptions of the economically preferred tree species in the forest. The forest products have been decreasing over time due to deforestation and degradation of the Munessa-Shashemene forest (93.5%) and economically valuable tree species were substituted by inferior one for various forest products. Consequently, as an area with both general and particularly economically valuable indigenous tree species, the Munessa-Shashemene forest can be sustained by implementing intensive silvicultural operations and enrichment planting for economically favored tree species along with Hagenia abyssinica, Juniperus procera, and Myrsine melanophloeos. Further research investigations are needed on the restoration techniques of degraded preferred tree species to enhance sustainability and reduce future challenges related to forest degradation.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2022.2120088
種類: 原著論文/Socioecnomics, Planning, and Management
Title: People’s outdoor behavior and norm based on the Right of Public Access: a questionnaire survey in Sweden
巻頁: J For Res 28 (1): 19-24
題名: 万人権に基づく自然アクセス活動の行動様式と規範:スウェーデンにおけるアンケート調査から
著者: 齋藤暖生, 三俣学, Niclas Bergius, 嶋田大作
所属: 東京大学大学院農学生命科学研究科
抄録: スウェーデンの森林では、他のスカンジナビア諸国と同様に、ベリーやキノコの採取などさまざまな自然アクセス活動が行われている。これらの活動は古くからの慣習に基づく「万人権」によって支えられているが、これは外見上、オープン・アクセスの仕組みであり、過剰利用やフリーライダー問題、土地所有者と訪問者の間の対立などが懸念される。本研究は、スウェーデンの人々がどのように自由な自然アクセス活動を維持しているのか検討するため、万人権に基づく人々の自然アクセス活動の内実を明らかにすることを目的とした。特にベリー類、キノコの採取活動に焦点を当て、現地でアンケート調査を行った。その結果、採取活動に関する土地所有者と採取者の間のトラブルは少ないこと、採取者はトラブルを回避する意識を強く持っていることがわかった。また、こうした行動や規範は、多くの場合、幼少期からの家族での自然アクセス活動に由来するものであることがわかった。これまでは、公衆による自然への持続的なアクセスを維持する行動様式は教育機関等を通じた公式な知識によって形成されるものと考えられていたが、本研究は、非公式な知識伝達もまた重要であることを明らかにした。
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2022.2123301
種類: 原著論文/Forest Environment
Title: Different relationships of fine root traits with root ammonium and nitrate uptake rates in conifer forests
巻頁: J For Res 28 (1): 25-32
題名: 針葉樹の細根によるアンモニア態および硝酸態窒素吸収速度と根特性の関係
著者: 伊藤拓生,小田あゆみ,増本泰河,暁麻衣子,牧田直樹
所属: 信州大学理学部
抄録: 樹木の細根による窒素(N)吸収は、森林生態系における根の生理機能を理解する上で重要である。本研究では、樹木細根による無機態N(アンモニア態および硝酸態窒素)の獲得戦略を明らかにするために、吸収速度の直接的な評価を試みた。調査は冷温帯の針葉樹林(長野県信州大学手良沢山演習林)で実施し、対象樹種は外生菌根種のカラマツとアカマツ、内生菌根種のヒノキとスギの4樹種とした。樹体につながったまま細根を掘り出し、既知濃度のアンモニア態Nと硝酸態Nの混合溶液に浸し、濃度変化を測定した。また、細根の形態特性として比根長を測定した。結果、樹木細根によるN吸収速度は、硝酸態Nよりもアンモニア態Nの方が高くなった。各N形態における吸収速度と細根形態特性の関係では、アンモニア態Nで細根の比根長と正の相関関係が認められた、一方で、硝酸態Nとは有意な関係が認められなかった。つまり、根系によるN吸収速度と形態特性との関係は,アンモニア態Nと硝酸態Nによって異なった。このようなN形態による関係性の差異が生じた理由として、N形態ごとの土壌に吸着される特徴および樹木の窒素同化効率に依存することが考えられる。本研究で対象とした針葉樹は、土壌中での利用性が高いアンモニア態窒素を多く吸収し、より獲得するために根の形態特性を変化させていた。以上より、本研究で対象とした針葉樹の根系は、それぞれの窒素形態に応じて吸収と根の形態特性を適応させるという獲得戦略を持つことが明らかとなった。
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2022.2102752
種類: 原著論文/Forest Environment
Title: Archaeal community structures associated with fine root systems of Cryptomeria japonica (Cupressaceae) in central Japan
巻頁: J For Res 28 (1): 33-41
題名: 本州中部におけるスギ(ヒノキ科)の細根系に関わるアーキア群集構造
著者: 峰太一郎,北上雄大,谷川東子,松田陽介
所属: 三重大学大学院生物資源学研究科
抄録: アーキア(古細菌)は極限環境に生息すると考えられてきたが,近年では非極限環境下でも発見されている.森林土壌におけるアーキアの硝化機能に着目した研究が行われてきたものの,根圏のアーキアが栄養吸収にどのように関与しているかに着目した研究は限られている.そこで,樹木の細根に生息するアーキア群集を明らかにするため,我々はスギを対象として,その根系から検出されたアーキアの分類学的属性と群集構造を調べた.本州中部のスギ人工林6調査地から根のサンプルを採取した.1次根と3次根から別々にDNAを抽出し,16S rDNA領域を対象としてクローニング法によりアーキアの分類群を決定した.その結果,90%の配列がThaumarchaeota門に分類され,同門の1.1bグループと1.1cグループがそれぞれ65%と25%を占めた.アーキアの群集構造は土壌pHと有意な連関を示したが,細根の次数や調査地では有意なまとまりは認められなかった.これらの結果は,Thaumarchaeota門がスギ細根の優占的なアーキアであり,その群集構造は土壌酸性度といった至近的な化学因子に影響されていることを示唆する.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2022.2108657
種類: 原著論文/Silviculture and Plant Sciences
Title: Rhizomes play significant roles in biomass accumulation, production and carbon turnover in a stand of the tall bamboo Phyllostachys edulis
巻頁: J For Res 28 (1): 42-50
題名: モウソウチク林において、地下茎は、バイオマス蓄積や生産速度、炭素の回転率の点で重要な役割を果たす
著者: 小林慧人,大橋瑞江,藤原道郎,北山兼弘,小野田雄介
所属: 京都大学大学院農学研究科
抄録: モウソウチクPhyllostachys edulis (イネ科タケ亜科)は地下茎を発達させており, 成長や資源の貯蔵・輸送に重要な役割を果している。しかし, 地下茎が林分レベルでどの程度蓄積, 年間あたりどの程度生産, そして入れ替わるかについてはこれまでよく分かっていない。そこで著者らは, 兵庫県淡路市のモウソウチク林において, 2013年から2018年にかけて調査を行い, 地下茎と他の器官(稈、枝、葉、根)の現存量, 生産速度, 回転率を推定した。そして以下の問いを検証した: 新たに固定された炭素はどの程度地下茎へ配分されるのか? 地下茎の炭素の回転速度はどの程度なのか? いの地下部へのバイオマス配分は, 同サイズの木本植物と比べどう異なるのか? 調査の結果, 新たに生産された地下茎は0.90 Mg C ha-1 year-1であり, 新しく固定された炭素量全体の9.5%を占めた。地下茎の炭素の回転速度は0.11 g g-1 year-1であり, 他の器官に比べて遅かった(=寿命が長い)。また, モウソウチクは同程度の茎重量をもつ木本植物と比べ,地下茎の蓄積量が大きいがゆえに,地下部器官へのバイオマス配分が2.0倍高かった。他方, モウソウチク林は生産性が高いと知られているものの, 葉へのバイオマス配分は木本植物よりも8.7倍低いことも分かった。この低さには, おそらく葉が薄いこと(ただし革質)や光合成のできる緑色の茎をもつことが関連すると考えられた。本研究は, 地下茎における貯蔵能力の高さと地上部における効率よい生産システムがモウソウチクの成長特性の鍵であることを示し, 温帯林における当該種の旺盛な成長を可能にしていることを指摘した。
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2022.2090669
種類: 原著論文/Silviculture and Plant Sciences
Title: Scarification with surface soil replacement can promote understory reinitiation as well as the growth of a secondary birch stand
巻頁: J For Res 28 (1): 51-56
題名: 表土を残すかき起こし作業はカンバ二次林の成長とともに下層の再発達を促進する
著者: 吉田俊也,山崎遥,宮本敏澄
所属: 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター
抄録: 北海道では、ササ類に覆われた無立木地等において天然更新を図るために、重機を用いたかき起こし作業が広く行われてきた。かき起こし地では一般にカンバ類が優占する林分が成立するが、ササ類の再侵入のため下層における稚樹の生育は限定的であり、林分は単層林にとどまることが多い。本研究で、私たちは、かき起こした表層土壌を施工地に敷き戻す「表土戻し」作業の長期的な効果を検証した。先行研究で、表土戻しは、カンバ類の定着と初期成長に著しい正の効果を及ぼしていた。同じ林分で約20年生の時点で再測を行なった結果、表土戻し箇所においては、通常の施工と比較してカンバ類の平均胸高直径と樹高が約1.5倍、蓄積が3倍に達していた。樹高の差は、とくに最初の10年間で拡大していた。さらに、表土戻し箇所においては、早期の林冠閉鎖によってササの再侵入が抑制され、遷移中・後期種を含む高木性樹種の稚樹が2倍以上の密度(10万本/ha以上)で生育していた。表土戻しを伴うかき起こし作業は、カンバ類の早期の成長に寄与するとともに、下層の発達を通して遷移の進行を促進する効果を持ち、従来の施工を大きく改善する代替作業になりうることが示された。
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2022.2091261
種類: 原著論文/Silviculture and Plant Sciences
Title: Rooting and development of cuttings from Pinus chiapensis hedges in response to indolebutyric acid and substrate treatments
巻頁: J For Res 28 (1): 57-63
題名: インドール酪酸および培土処理に対するPinus chiapensisの挿し穂の発根と成長
著者: Virginia Rebolledo Camacho, María G. Mateo de Jesus, Edison A. Díaz Álvarez
所属: Universidad Veracruzana, México
抄録: Pinus chiapensis is an endemic and endangered species from Mexico and Guatemala, which has low seedling survival from seeds, and protocols for its asexual propagation have not been fully studied. For these reasons, through a greenhouse experiment, we first compared the production and development of cutting capacity from mother plants produced from trees selected at six different locations. Second, we evaluated after 22 weeks of growing the development responses of such cuttings, i.e. survival, root production, root length and cutting length, growing in two substrates supplemented with four different concentrations of indolebutyric acid. We found differences on cutting production and development among the six sites. In particular, plants from Zapotitlán reached the highest yield of 4.28 ± 0.36 cuttings per plant and 1.94 ± 0.08 cm in length. Cutting survival ranged from 68.6% to 100% on all treatments. The highest percentage of rooted cuttings (100%) was observed for substrate B at 1000 ppm of indolebutyric acid. In addition, the highest root production of 3.19 ± 0.21 per cutting, the highest root growth of 4.49 ± 0.79 cm and the highest cutting growth of 5.53 ± 0.26 cm were observed for substrate B at 1000 ppm of indolebutyric acid. The production of rooted cuttings should be utilized in conjunction with genetic tree improvement programs to implement local commercial plantations of plus-trees, which can reduce the extractive pressure of the few remaining relictual populations of this species, which in turn would allow increase the income of rural communities improving their life conditions.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2022.2101585
種類: 原著論文/Silviculture and Plant Sciences
Title: Are seeds of trees with higher fruit production dispersed farther by frugivorous mammals?
巻頁: J For Res 28 (1): 64-72
題名: 結実量の多い木ほど果実食哺乳類によって遠くまで種子は散布されるのか?
著者: 小池伸介, 栃木香帆子, 山﨑晃司
所属: 東京農工大学大学院
抄録: これまで様々な方法で,動物による周食型種子散布における種子の散布距離が推定されてきた。しかし、直接観察以外では、各動物種による散布種子量を同時に明らかにすることはできず、各動物種による植物への貢献度を定量的に評価することは困難であった。この問題を解決するために、本研究は種子散布を担う果実食哺乳類による種子散布距離と散布種子量の両方を同時に推定し、動物種間で比較するとともに、樹木の個体ごとにおける結実量と長距離の種子散布量との関係を比較した。本研究では、カスミザクラの果実とそれを採食する5種の果実食哺乳類(ツキノワグマ、ニホンザル、ホンドテン、タヌキ、二ホンアナグマ)を対象とした。まず、種子散布距離は、野生個体の行動追跡調査と飼育個体を用いた種子の腸内滞留時間測定の両結果から推定した。また、種子散布量は、野生のカスミザクラを2年間にわたり観察し、樹木個体ごとの結実量、各動物種の訪問頻度を測定するとともに、野外で採取した各動物種の糞に含まれる種子量と飼育個体を用いた実験から、各動物種の結実木への訪問1回当たりに採食する果実数を推定した。その結果、各動物種により種子の散布距離分布は異なり、主に長距離の種子散布を担うのはツキノワグマとホンドテンであった。また、各動物種の結実木への訪問1回当たりで採食する果実数も種間で大きく異なり、ツキノワグマが極めて大きかった。以上より、樹木個体ごとにみると、結実量が多いほど果実食哺乳類に散布される種子量は多くなるだけでなく、長距離に散布される種子量も多くなる傾向があり、それらにはツキノワグマの結実木への訪問の有無が強く影響した。また、樹木個体間の結実量の違いにより、結実木を訪れる動物相は異なった。以上より、結実木と種子散布者の相互作用を明らかにするためには、果実生産量の異なる多くの結実木を観察することの必要性が示唆された。
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2022.2120073
種類: 短報/Silviculture and Plant Sciences
Title: Litter leachate as a potential selector of woody species germination at alpine treeline
巻頁: J For Res 28 (1): 73-77
題名: 高山帯森林限界においてリター浸出液が木本種の種子発芽を選別する可能性
著者: Miroslav Zeidler
所属: Palacky University, Czech Republic
抄録: The advancement of upper forest limits is driven by environmental conditions, but our current understanding overlooks the attributes of habitats and germination ability of woody species. Habitats, through plant litter, impact the competitive relation of germination and seedling growth. The aims of this study were to identify the selective effect of six litter leachates on the germination of indigenous Norway spruce (Picea abies) and nonindigenous dwarf pine (Pinus mugo) and compare the germination rates of the species. We collected plant litter and seeds from the (sub)alpine belt of the Hrubý Jeseník Mts. (the Eastern Sudetes Mts.; the Czech Republic). We evaluated the effect of plant litter leachates from alpine heathlands, wind-swept alpine grasslands, subalpine tall-herb plants, Pinus mugo scrub, subalpine Vaccinium vegetation, and Norway spruce clonal groups on germination process under standard light and temperature conditions. The germination of Norway spruce was inhibited by the litter leachate from subalpine tall-herb vegetation mainly dominated by Calamagrostis villosa, whereas that of dwarf pine was not. The other five litter leachates had no significant effect on the both. Under standard conditions, the germination time of dwarf pine is on average one day faster. These results suggest that most of the litter leachates examined may have small impacts on the germinability and germination time of Norway spruce and dwarf pine, but litter from the subalpine tall-herb vegetation can act as a filter that influences the seedling composition of the woody species.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2022.2124607
種類: 短報/Forest Health
Title: Oviposition sites constructed in Pinus densiflora phloem by Monochamus alternatus and Monochamus saltuarius (Coleoptera: Cerambycidae)
巻頁: J For Res 28 (1): 78-81
題名: アカマツ師部内に形成されるマツノマダラカミキリMonochamus alternatusとカラフトヒゲナガカミキリMonochamus saltuarius (Coleoptera: Cerambycidae)の産卵場所
著者: 中山雄介,富樫一巳
所属: 広島大学総合科学部
抄録: マツノマダラカミキリとカラフトヒゲナガカミキリはマツノザイセンチュウを伝播し、そのセンチュウはマツ材線虫病を引き起こす。2種のカミキリはマツの樹皮に窪みを作り、そこから産卵管を師部(内樹皮)に挿入して産卵する。カミキリの産卵痕を通して伝播されるマツノザイセンチュウの調査用樹皮サンプルの大きさを決めるために、師部内の産卵場所の大きさと卵の配置を調べた。2種は産卵場所として楕円形の平たい隙間を作り、その中にマツノマダラカミキリの場合は0−2卵を、カラフトヒゲナガカミキリの場合は0−5卵を産んだ。産卵場所の長さと幅の平均値は、マツノマダラカミキリではそれぞれ9.31 mmと5.82 mm、カラフトヒゲナガカミキリでは7.28 mmと3.32 mmであった。産卵場所の最大の長さは、マツノマダラカミキリでは15.00 mm、カラフトヒゲナガカミキリでは10.10 mmであった。2種のカミキリについて、産卵痕における産卵管を挿入した開口部から卵の後端部までの距離は、雌の体重とともに増加した。各産卵痕には1または2個の産卵場所があった。それ故、産卵痕あたりの卵数は、雌の産卵行動あたりの産卵数を必ずしも示す訳ではなかった。産卵痕を通して伝播されたマツノザイセンチュウの調査には、マツノマダラカミキリの場合、直径が30 mmを超える円形樹皮サンプルが適しており、カラフトヒゲナガカミキリの場合は、直径が21 mmを超える樹皮サンプルが適することが分かった。
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/13416979.2022.2098601