No.32 十勝三股の林業集落跡地と森林景観
とかちみつまたのりんぎょうしゅうらくあとちとしんりんけいかん
番号 | No.32 |
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登録年度 | 2018年度 |
認定対象 | 上士幌町十勝三股における以下の要素。 【林業跡地】森林鉄道跡・土場跡・伐木事業所跡を含む林業集落跡 【林業景観】東大雪山の原生的景観・三国峠からの樹海景観・台風被害地固定試験地を含む、面積約5286ha |
分類・形式 | 林業跡地、林業景観 |
成立年代 | 1920年年代 |
所在地 | 北海道河東郡上士幌町十勝三股 |
所有・管理者 | 林野庁北海道森林管理局 十勝西部森林管理署東大雪支署 |
大雪山国立公園内に位置する十勝三股は、昭和30-40年代の最盛期には約1500人の人口を擁した大規模林業集落であり、東大雪の大森林を伐採活用する一大拠点であった。
馬車鉄道や冬季の馬搬などによる伐採搬出(特に官行斫伐)事業は、昭和14年に国鉄十勝三股駅の開業にともなって本格化し、戦後敷設の音更森林鉄道が活躍した。昭和29年に甚大な被害をもたらした洞爺丸台風の風倒木処理が一段落した後は、伐採搬出事業・集落ともにその規模を急速に縮小させていった。
広大な集落跡地には森林鉄道や土場の跡が残っており、往年の活況を偲ばせる。音更森林鉄道跡の先には伐木事業所跡が残る。
また、利用の対象であったこの東大雪の森林は、三国峠からの樹海景観や洞爺丸台風の風倒被害地固定試験地を内包しており、原生自然と人為がコントラストをなす森林景観を見て取ることができる。
このように、原生的な天然林の伐採とともに歩んできた北海道の開拓と林業の歴史を端的に示す貴重な地域であることから、林業遺産に選定する。