No.41 大型木製水車駆動帯鋸製材装置一式
おおがたもくせいすいしゃくどうおびのこせいざいそうちいっしき
番号 | No.41 |
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登録年度 | 2019年度 |
認定対象 | 大型木製水車駆動帯鋸製材装置一式 |
分類・形式 | 建造物、道具類 |
成立年代 | 1937(昭和12)年 |
所在地 | 岡山県美作市右手 |
所有・管理者 | 共和林業有限会社 |
岡山県美作市右手の共和林業有限会社には、1916(大正5)年製造のドイツ製帯鋸一式を導入しての、1937(昭和12)年使用開始の水車式製材施設がある。木製の水輪は直径4.6m、幅95cmと大きなもので、企業的に用いられた水車式製材設備のうち現在も稼働するものとして国内唯一だと推定される。
世界的に製材は、水力を用いる加工業の重要な分野であった。精米や製粉を超える大きな出力を要する工業目的の水力利用が欧州と比べて発達しなかった日本では、近代になって装置や機構を外国から導入する形で水車式製材が広まった。共和林業の所在する梶並川沿いを含む岡山県北部では明治後期以降、電動機・発動機製材とともに多くの水車式製材施設が活躍したが、電力への代替や製材業の衰退により、共和林業のもののみが現役の施設として現存している。
水車式製材は一連の独特の設備、特に消耗する設備である水輪を整備更新する技術も不可欠である。水輪の最新の更新は2009(平成21)年に、1990(平成2)年製作時の水車大工による仕様を忠実に再現して行われた。すなわち、水車式製材が企業的に使用され続け、また地域の技術によって定期的な更新が行われていることは、技術の継承の観点からも重要であると言える。
日本で現役の水力製材が現存することの歴史的・社会的な重要性を認め、林業遺産へ選定した。本設備の動態保存が今後も継続されることを期待したい。