第134回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
林政部門[Forest Policy]
日付 | 2023年3月27日 |
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開始時刻 | 15:45 |
会場名 | Room 1 |
講演番号 | A20 |
発表題目 | 消失した里山資源が持つ意義と再生の可能性:大津市守山の「あぶらぼん」 Significance of disappeared Satoyama resources and potential for regeneration: "Aburabon" at Moriyama, Otsu City |
要旨本文 | 大津市守山地区の里山では、かつて「あぶらぼん」と呼ばれるキノコが採取・利用されていた。現地における聞き取り調査から、1950年代から急激に採取・食用の経験が衰退し、1970年代には、ほぼこのキノコの姿は見られなくなっていた。採取・食用の経験者によると、商品価値の高かったマツタケとは異なり、「あぶらぼん」は集落の近傍に発生し、女性や子供でも手軽に採取できるキノコだった。また、味噌汁など日常的な調理方法で食用とされていたが、その食味が高く評価されていた。こうしたことから、「あぶらぼん」は何らかの環境変化により消失してしまったキノコではあるが、再生できるならば、里山と集落住民の関わりを再構成する動機となる可能性がある。聞き取り調査で得られた「あぶらぼん」の特徴から、キノコの正体を探った。確度の高い候補種について、その発生地において経験者が実際に採取をし、さらに食味を確かめたところ、「あぶらぼん」とされてきたキノコは、腐植生菌のチャナメツムタケ(Pholiota lubrica)であると推定された。同定が正しければ、守山地区で「あぶらぼん」が衰退した要因を検討することで、里山と集落住民の関わりの再構成に寄与しうる。 |
著者氏名 | ○齋藤暖生1 ・ 深町加津枝2 |
著者所属 | 1東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林富士癒しの森研究所 ・ 2京都大学大学院地球環境学堂 |
キーワード | キノコ, 非木材林産物, 植生変化, 食材, 在来知 |
Key word | mushroom, NTFP, change in vegetation, food stuff, indigenous knowledge |