第134回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
生理部門[Tree Physiology]
日付 | 2023年3月27日 |
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開始時刻 | 9:15 |
会場名 | Room 4 |
講演番号 | G2 |
発表題目 | 亜高山帯常緑針葉樹における樹高に沿った師部の形態とショ糖濃度の勾配 Changes in phloem-cell anatomy and sugar concentration with tree height in a subalpine fir |
要旨本文 | 葉の光合成でつくられた糖は、師部を通して植物の隅々へと輸送される。師部ではソース器官の葉とシンク器官の根や茎との師管細胞の膨圧差でできる水の流れにのって糖が移動する。膨圧は師管液の主成分であるショ糖などの糖によって作られるとされ、個体の中で先端部から基部に向かって師部内では糖濃度の勾配が作られることが期待される。このことを検証するために、北八ヶ岳の亜高山帯の森林で優占するシラビソを使って実験を行った。樹高が7 m – 9 mの3個体を選び、地面から30cmの部位から約6 mの高さまで、80 cmごとに、さらに最も高い採取部位近くから伸びる約12 - 15年生の側枝からも樹皮を採取した。採取した樹皮は1 mLの蒸留水に浸して師部液を採取し、HPLCで糖組成を測定した。師部液からはフルクトース、グルコース、ショ糖が検出され、側枝で幹よりもショ糖の割合が低い傾向があったが、全体の糖濃度は高さ方向の明確な勾配はなかった。特にショ糖濃度は曇りの夕方に採取した個体で低く、晴れた午前中に採取した個体で高い傾向があった。この結果は、師管液中のショ糖濃度は、勾配を作るというよりも葉の光合成の状態に強く依存することが示唆された。 |
著者氏名 | ○種子田春彦 ・ 王昕 |
著者所属 | 東京大学大学院理学系研究科 |
キーワード | 師部輸送, 常緑針葉樹, 解剖学的特徴, 内樹皮, ショ糖 |
Key word | phloem transport, evergreen conifer, anatomical traits, inner bark, sucrose |