第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付 2023年3月27日
開始時刻 15:30
会場名 Room 7
講演番号 H5
発表題目 天然更新の目的樹種となる広葉樹の種子は自然の森林土壌で何年存続するか?
How long do dispersed seeds of broad leaved tree species live in forest soil? Implication from silvicultural perspective
要旨本文 落葉広葉樹16種(カバノキ科、ブナ科、カエデ属など)を対象に、老齢林において種子トラップで捕捉された種子散布量とコドラート内の当年生実生数を観測した12年間のデータを統計モデルにあてはめ、自然の状況下での散布後の種子の毎年の生存率と実生となる割合を種ごとに推定した。埋土種子を形成する樹種で種子の年生存率が最も高かったのはハクウンボクの約0.7、ついでサワシバ、カスミザクラ、オオモミジ、ウリハダカエデ、ミズキ(0.3~0.6)、クマシデ属他樹種とイタヤカエデ(0.1~0.2)と続き、ミズメが最も低かった(0.1未満)。散布以降の最初の1~2年を生き残った種子の生存率はそれ以降は年とともに増加する傾向があったが、生き残った種子のうち毎年0.1~0.4の割合が実生となっており、散布による新たな追加があっても埋土種子が増え続ける傾向はなかった。一方、埋土種子を形成しないブナ科ではクリが年換算で0.16の生存率を示した以外はブナ類、ナラ類ともに0.01~0.09という低い値を示した。シミュレーションの結果、ハクウンボク以外では、埋土種子よりも実生バンクが個体群再生に有効に貢献すると推測された。
著者氏名 ○正木隆 ・ Wijenayake PavithraRangani ・ 柴田銃江
著者所属 国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
キーワード 埋土種子, 実生バンク, 天然更新, 小川試験地
Key word seed bank, seedling bank, natural regeneration, Ogawa Forest Reserve