要旨本文 |
カラスバトは主に伊豆諸島などの島嶼部に生息する鳥で、天然記念物に指定されている。また、準絶滅危惧種でもあり保全が必要な鳥である。しかし、個体数が少ないことや人前に滅多に姿を現さないことから調査が非常に困難な鳥である。本校の生物部では10年以上前から伊豆大島で野外調査を行っており、カラスバトは暗いシイの森を好むことや、鳴き声に複数の種類があることが明らかになってきた。そこで私たちはカラスバトの鳴き声の意味を解明できれば調査が容易になり保全にもつながるのではないかと考え、カラスバトの鳴き声に関する研究を行った。研究では野外個体もしくは動物園の飼育個体の行動を観察するとともに録音機で音声を記録し、行動と音声を照らし合わせて音声の意味を推測するという方法をとった。録音機で記録したデータは野鳥の音声分析ソフト「Raven Pro」で周波数や声紋を分析した。その結果、私たちが今まで1種類として数えていた鳴き声の中にも、短い音の組み合わせ方によって複数の鳴き方があることが分かり、鳴き方に文法が存在する可能性が示唆された。また、今年からは録音機を森の中に一定時間設置することでカラスバトが活発に鳴く時間帯なども調べた。 |