要旨本文 |
近年、キノコを食用とするだけでなく、菌糸が持続可能な環境に優しい資源として注目されている。本校には多数のキノコが生息おり、森林生態系内でも重要な役割を果たしていると考えられる。そこで、本研究ではキノコの生育状況を先行研究と比較し考察するとともに、キノコの有機物分解速度や呼吸速度、土壌動物との関係を数値化し、森林生態系でのキノコの役割を評価する。 校内の山林を散策し、キノコの子実体を写真を用いて記録した。また、土壌を子実体の有無それぞれから採取し、ツルグレン装置を用いて土壌動物の種類と数を記録した。さらに、赤外線ガス分析器を用いて子実体の呼吸速度と有機物分解速度を測定した。 生育環境は降雨量が多く、気温が15~25℃の月で生えやすいが、発生場所は種類によって大きく異なることが確認できた。キノコと土壌動物の関係においては、菌糸がある土壌はない土壌に比べて土壌動物の種数、個体数ともに多い傾向となった。これはキノコと土壌動物の生育環境が一致しており、キノコと土壌動物の間には共生関係があると示唆された。また、子実体からは高い呼吸量が確認され、5~6月において有機物分解量は高くなる傾向が見られた。 |