要旨本文 |
京都府宇治市にある莵道高校の敷地内には「莵道の森」と呼ばれる学校林があり,コナラ,サクラを中心に多くの樹種が生育する里山林となっている。森林の土壌生態系において,リター(落葉・落枝など)の存在は重要であり,本研究では学校林にリタートラップを設置して落下物を記録することで,学校林のリター成分について考察することを目的とした。円形のリタートラップ(直径40cm)を2021年11月から2022年10月まで,学校林の3カ所(場所A,B,Cとする)に設置し,1ヶ月ごとに回収して,落下物の質量を種類ごと(葉・枝・花・種子・その他)に記録した。場所Aは学校林の端で,周囲に樹木は少なかった。Bは林内にある斜面の下側で,周囲にはヒサカキ,サクラ,アラカシ,スギなど多くの樹木が見られた。場所Cは斜面の上側で,周囲にはヒサカキ,サカキなどが見られた。落下物の重量は季節により大きく変化し,春季や秋季に多くなる傾向があった。種類ごとに見ると,B・CではAに比べて春季に葉が多く落下していた。これはB・Cの周囲に常緑樹があり,春季に葉の交換をしていたからだと考えられる。このように,生育する樹種により,リター成分の種類が異なってくることが分かった。 |