第134回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
動物・昆虫部門[Forest Insects and Animals]
日付 | 2023年3月27日 |
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開始時刻 | 14:45 |
会場名 | Room 6 |
講演番号 | L3 |
発表題目 | ナラ枯れの媒介昆虫カシノナガキクイムシの生態はどこまで解明されたのか? To what extent has the ecology of the vector beetle(Platypus quercivorus) of Japanese oak wilt disease elucidated? |
要旨本文 | カシナガのようなPlatypus属がRaffaelea属菌を媒介してブナ科樹木を枯らせる被害が世界中で発生している。日本のナラ枯れは、1980年代以降に拡大、現在は関東で深刻化している。ナラ枯れが抑えられないのは、カシナガの生態が理解されていないためである。無被害地の健全木の幹に穴をあけて殺菌剤を注入したり、無被害地にフェロモン剤を設置するなど、カシナガを無被害地に引きずり出す対策が行われている。カシナガは、枯死して間もない樹木を利用する二次性昆虫であるが、数が増えると健全木にも攻撃して枯死させる一次性昆虫に転化する。カシナガは、枯死して間もない樹木という量的に少ない寄主を探し当てるため、飛翔力が高く、嗅覚が鋭い。また、希な繁殖材料に運良く辿り着く幸運な個体は少ないため、一旦、繁殖に成功した場合、多数の子供を育て上げる。飼育実験では2頭の親から500頭以上が育った例があり、野外では1000頭以上が育った記録がある。ここでは、透明のビンによる飼育で判明した木の中での生活を中心に、カシナガの驚くべき生態を動画で紹介する。そして、この虫が一気に増えるメカニズムについて考察する。 |
著者氏名 | ○小林正秀 |
著者所属 | 京都府農林水産技術センター森林技術センター |
キーワード | カシノナガキクイムシ, ナラ枯れ, 生態, 真社会性 |
Key word | Platypus quercivorus, Japanese oak wilt disease, ecology, Eusociality |