第134回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
動物・昆虫部門[Forest Insects and Animals]
日付 | 2023年3月27日 |
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開始時刻 | 15:30 |
会場名 | Room 6 |
講演番号 | L5 |
発表題目 | マツノザイセンチュウにおける昆虫便乗の特異性獲得とその段階的進化 Gradual evolution of specific association between Bursaphelenchus xylophilus and vector longhorn beetles |
要旨本文 | マツ材線虫病の病原体であるマツノザイセンチュウ(以下マツノザイ)は、媒介カミキリムシが羽化時に発する揮発性物質を受容し分散型幼虫へと脱皮する。マツノザイの近縁種オキナワザイセンチュウ(以下オキナワザイ)は、同様にカミキリムシに便乗するにも関わらず、昆虫の非存在下でも分散型幼虫が出現し、その便乗率はマツノザイと比べて非常に低い。本研究では、2種を比較することでBursaphelenchus属線虫がカミキリムシとの特異的な便乗関係を構築するまでの進化的な道筋を明らかにするため、オキナワザイの分散型幼虫誘導条件を探索した。まず、同種の水溶性フェロモンを添加した培地上でオキナワザイを培養した結果、全体の27%が分散型幼虫へと移行し(P<0.01)、この際高温ほど分散型幼虫の誘導率が高くなる傾向が見られた。次に、マツノマダラカミキリが羽化するまで共培養した結果、全体の23%が分散型幼虫へと移行した(P<0.01) 。以上より、オキナワザイの分散型幼虫誘導には線虫の水溶性フェロモンと昆虫由来の物質の両方が関与していることが明らかとなった。この結果とマツノザイの分散型幼虫誘導条件を比較し、その進化的背景について考察する。 |
著者氏名 | ○桐野巴瑠1 ・ 前原紀敏2 ・ 新屋良治1 |
著者所属 | 1明治大学農学研究科 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 |
キーワード | 分散型幼虫, 誘導条件, オキナワザイセンチュウ |
Key word | dispersal stage larvae, inducing condition, Bursaphelenchus okinawaensis |