第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

日付 ポスター発表
会場名 (学生ポスター賞の審査対象)
講演番号 P-201
発表題目 イヌブナにおける核DNA変異と系統地理
Nuclear DNA variation and phytogeography in Fagus japonica
要旨本文 岩手県から宮崎県南部・鹿児島県北部にかけて分布するイヌブナでは、アロザイムやマイクロサテライトの限られた座を遺伝マーカーとして集団遺伝学的研究が行われてきた。DNA変異である一塩基多型(SNP)ではゲノムワイドな多数の座を扱うことができるため、これまでに不可能であったゲノム全体での評価により、遺伝的多様性と系統地理を正確かつ詳細に明らかにできると期待される。本研究では、多数のSNPを遺伝マーカーに用いて、地理的スケールにおけるイヌブナの核DNA変異と系統地理を明らかにすることを目的とした。分布全域にわたる33集団の合計384個体を用いてddRADシーケンシングを行い、多数のSNPを得た。2579座の遺伝子型データに基づき集団遺伝学解析を行った結果、集団内の平均遺伝子多様度は0.257であった。集団間の遺伝的分化の程度(FST=0.012)は低かったが、東北、中部、中国・四国・九州地方の3系統に分かれる集団構造が明らかとなった。8174座の遺伝子型データを用いてデモグラフィー解析を行った結果、東側の系統と西側(中国・四国・九州地方)の系統が分岐したのちに、東側の系統から東北地方と中部地方の系統が分岐したことが示唆された。
著者氏名 ○久保田裕太1 ・ 玉木一郎2 ・ 鳥丸猛3 ・ 内山憲太郎4 ・ 戸丸信弘1
著者所属 1名古屋大学大学院生命農学研究科 ・ 2岐阜県立森林文化アカデミー ・ 3三重大学大学院生物資源学研究科 ・ 4国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所樹木分子遺伝研究領域
キーワード イヌブナ, 核DNA, 系統地理
Key word Fagus japonica, Nuclear DNA, phytogeography