第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

日付 ポスター発表
会場名 (学生ポスター賞の審査対象)
講演番号 P-204
発表題目 日本列島におけるミネカエデとナンゴクミネカエデの分布境界とその形成過程
Formation of distribution boundaries of Acer tschonoskii and A. australe in the Japanese Archipelago
要旨本文 東アジアで多様化した木本としてカエデ属(Acer)が知られており、日本列島には約27種が分布している。カエデ属の多様化には地理的障壁や生育環境の違いから生じる遺伝的分化が寄与していると考えられる。ミネカエデ(A. tschonoskii)とナンゴクミネカエデ(A. tschonoskii var. australe)は形態の類似した変種で、北海道と東北、関東甲信越の日本海側にミネカエデ、東北と関東甲信越の太平洋側、関東甲信越以南にナンゴクミネカエデが分布すると考えられている。 本研究では、遺伝情報の解析を行い日本列島のミネカエデ類の分布境界と形成過程の知見を得ることを目的とした。2020年6月~2022年8月に北海道から四国の32集団の調査を行った。核SSRの遺伝構造からミネカエデ類の分布境界は関東甲信越から東北の内陸部に連続的に形成されていることが明らかになった。東北太平洋側の集団では遺伝的混合が見られ、分布境界での交雑が示唆された。集団間FSTの回帰分析では、集団間の距離と積雪深の差が有意な説明変数となった。積雪量の異なる日本海側と太平洋側で開花期にずれが生じ、遺伝的分化が進み、積雪量に応じてミネカエデ類2変種の分布境界が形成されたと考えられる。
著者氏名 ○竹内虎輔1 ・ 齊藤陽子1 ・ 平尾聡秀2
著者所属 1東京大学大学院農学生命科学研究科 ・ 2東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林秩父演習林
キーワード 生物系統地理, SSR, 種分化, 積雪深, 亜高山帯
Key word Phylogeography, SSR, speciation, snow depth, subalpine zone