第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

日付 ポスター発表
会場名 (学生ポスター賞の審査対象)
講演番号 P-205
発表題目 ヒナウチワカエデとコハウチワカエデの交雑実態―葉の形質と葉緑体DNA解析
Hybridization between Acer tenuifolium and Acer siboldianum : Leaf traits and analysis of chloroplast DNA
要旨本文 ヒナウチワカエデ(Acer tenuifolium)とコハウチワカエデ(A. sieboldium)は本州・四国・九州に分布する日本固有種である。核マイクロサテライトマーカーを用いた先行研究(齊藤・芝野 2020)では両種の交雑の可能性が示唆されており、本研究では葉緑体DNAシーケンスと葉の形質比較から両種の交雑を検証することを目的とした。材料として、東京大学秩父演習林入山で採取したヒナウチワカエデとコハウチワカエデの葉を用いた。次世代シーケンサーから得た配列を基に2種の識別可能領域と考えられた葉緑体DNA2領域計1115bpについて、シーケンスを行い塩基配列の変異を基にハプロタイプを決定した。また各個体あたり4-5枚の葉について、1枚当たり4か所の葉のトライコームの計測とImageJを用いた形態測定を行った。本研究で検出した葉緑体ハプロタイプは4つで、優占するハプロタイプは2種で異なるが、2つのハプロタイプを共有していた。核DNA分析から雑種と推定したサンプルはどちらも形態から推定した種のハプロタイプであった。よって両種の交雑は否定されなかったが、調査地においては葉緑体DNAの浸透の可能性は低いと考えられた。今後、形質比較からも交雑の可能性を考察する。
著者氏名 ○戸口侑紀1 ・ 上田実希1 ・ 黒河内寛之2 ・ 中村琢磨5 ・ 平尾聡秀3 ・ 芝野萌菜実4 ・ 齊藤陽子2
著者所属 1日本女子大学理学部 ・ 2東京大学大学院農学生命科学研究科 ・ 3東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林秩父演習林 ・ 4那須どうぶつ王国 ・ 5九州大学農学部附属演習林
キーワード 交雑, 葉緑体DNA, トライコーム
Key word Hybridization, Chloroplast DNA, Trichomes