第134回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
生理部門[Tree Physiology]
日付 | ポスター発表 |
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会場名 | (学生ポスター賞の審査対象) |
講演番号 | P-223 |
発表題目 | ブナのミトコンドリアゲノムにおけるアミノ酸変異と呼吸特性 Amino acid substitution in mitochondrial genome and respiratory characteristics of Fagus crenata |
要旨本文 | 日本の冷温帯に広く分布するブナは、日本海型と太平洋側型の気候帯に対応した遺伝的分化が起きており、それぞれに適応した形態的・生理的形質を獲得している。本研究は全国のブナを対象に、ミトコンドリアゲノムにコードされる遺伝子の塩基配列を決定し、アミノ酸配列と呼吸の低温応答の関係を比較した。ブナのミトコンドリアゲノムには35個のタンパク質コード遺伝子が存在し、遺伝子の種類と数には地理的変異が認められなかった。タンパク質をコードする遺伝子の全てのエクソン配列に基づく系統解析では既往研究を支持した。また非同義置換は10塩基あり、atp1遺伝子のアミノ酸置換パターンが太平洋型と日本海型の気候帯と一致した。atp1遺伝子はミトコンドリア内膜に存在するF型ATP合成酵素のαサブユニット(ATP合成を触媒するβサブユニットとともにF1モーターを構成する)をコードしており、ATP合成酵素は低温下の呼吸速度を律速することが一般に知られていることから、呼吸の低温応答にブナの適応的な地理的変異が存在すると推察された。さらに冬期における呼吸速度の低温応答について地理的変異を調べ、ATP合成酵素との関係を検討した。 |
著者氏名 | ○前田唯眞1 ・ 斎藤秀之2 ・ 齋藤拓哉1 ・ 荒川圭太2 ・ 宮本敏澄2 ・ 渋谷正人2 |
著者所属 | 1北海道大学大学院農学院 ・ 2北海道大学大学院農学研究院 |
キーワード | ブナ, 呼吸, ミトコンドリア, アミノ酸置換, 環境適応 |
Key word | Japanese Beech, respiration, mitochondria, amino acid substitution, environmental adaptation |