第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

日付 ポスター発表
会場名 (学生ポスター賞の審査対象)
講演番号 P-225
発表題目 ブナ苗木の光合成能力の高温レジリエンスとリボソーム量に及ぼす施肥の影響
Change of photosynthetic resilience to high temperature related to ribosome of beech seedlings by fertilization
要旨本文  森林樹木は外的環境に対しレジリエンス(抵抗力と回復力)を高く保つ必要があり、この評価の指標として我々はリボソームに注目している。リボソームは遺伝子発現における翻訳を司るため、その量的変化は環境ストレスに対する防御機能や修復機能に影響を与え、延いては光合成能力の生理生態的レジリエンスに関係することが予想される。 本研究は、ブナ実生苗を対象に黒土および赤玉+鹿沼土の土壌養分条件を操作して育苗し、高温処理(35℃・2時間)に対する光合成能力の低下率と回復率を調べ、葉の窒素・リン含有率と葉緑体リボソーム量の関係、ならびに光合成能力のレジリエンスと葉緑体リボソーム量の関係を解析した。葉緑体リボソーム量と葉の窒素量の関係は、黒土では正の相関が認められたが、赤玉+鹿沼土ではリン不足が制限となり相関が認められなかった。葉緑体リボソーム量は窒素とリンの両方に制限されることが示された。また、貧栄養な赤玉+鹿沼土では、葉緑体リボソーム量と光合成能力(最大炭酸固定速度Vcmax)の高温処理による低下率と有意な相関関係が示された。よって、葉緑体リボソーム量が光合成能力の高温に対する抵抗力の制限因子であると考えられた。
著者氏名 ○川江萌々香1 ・ 岡﨑裕平2 ・ 前田唯眞2 ・ 斎藤秀之3 ・ 宮本敏澄3 ・ 渋谷正人3
著者所属 1北海道大学農学部 ・ 2北海道大学大学院農学院 ・ 3北海道大学大学院農学研究院
キーワード 高温, リボソーム, 光合成, ブナ, 養分条件
Key word high temperature, ribosome, photosynthesis, Fagus crenate, nutrients