第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

日付 ポスター発表
講演番号 P-226
発表題目 野外において光合成最適温度を変化させる生育温度以外の要因について
Factor affecting optimal temperature of leaf photosynthesis except for thermal acclimation in field
要旨本文 光合成の温度カーブから得られる最適温度(Topt)は、植物の生育温度と正の相関を示すことが知られており、その関係は温度順化能力の指標として使用されてきた。しかし、温度カーブの形は生育温度だけでなく、葉齢や乾燥にともなう気孔閉鎖によって変化する可能性がある。そのため野外では温度順化と関係のないToptの変化が起こると予想され、その程度を知ることは温度順化能力や光合成能力の正確な評価に貢献する。そこでブナ成木の陽葉についてガス交換速度の温度応答と日変化を季節、3標高を通して測定し、葉齢や気孔閉鎖の影響を考慮した個葉のガス交換モデルを構築した。そして光合成温度カーブの季節と標高変化を再現し、温度順化、葉齢、気孔閉鎖がToptに与える影響を定量的に評価した。生育温度とToptには強い正の相関が見られたが、温度順化を排除してもその相関は維持された。その理由を分析したところ、若葉の低い気孔コンダクタンス、加齢による活性化エネルギーの低下、高標高の低い露点が、まるで温度順化が起こっているかのような温度とToptの関係を作り出していることがわかった。
著者氏名 ○飯尾淳弘1 ・ 片畑伸一郎2 ・ 楢本正明1 ・ 王権1
著者所属 1静岡大学農学部 ・ 2岐阜大学応用生物科学部
キーワード 光合成, 最適温度, 温度順化, ガス交換モデル, ブナ
Key word Leaf photosynthesis, Optimal temperature of photosynthesis, Thermal acclimation, Farquhar-type leaf gas exchange model, Fagus crenata