第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付 ポスター発表
講演番号 P-252
発表題目 天然分布以北におけるブナの種子生産変動
Fluctuation of seed production of Fagus crenata in regions north of natural distribution
要旨本文 分布以北におけるブナの種子生産変動を明らかにするため、由来産地(新潟県魚沼市栃尾又)から600km、北限から80km離れた北海道江別市に植栽されたブナ林に種子トラップを設置し種子品質を調べた。対象地は分布以北に植栽された林分としては最大であり、林齢約120年、林分面積0.1ha、現存本数53本、平均胸高直径38.3cm、最大胸高直径87.3cmである。2006年から2020年の15年間の種子生産量はCV1.24と著しい変動を示し、このうち充実種子の落下数が100個/m2を越えた豊作年は3回訪れた。豊作年の条件は、当年に大量開花すること(>700個/m2)と、前年が少量開花年(<25個/m2)であることで、これまでの報告と一致していた。分布以北の種子の充実率は38%であり、分布域内のブナ林5ヶ所での充実率(50~63%)に比べる値が低く、集団サイズが小さいため花粉制限が働いていると考えられた。一方、分布以北の虫害率は45%であり、分布域内の虫害率(58~69%)に比べて低くなっていた。これは種子食スペシャリスト昆虫が生存しにくいことが影響していると考えられた。また、発表では、種子生産の年変動に及ぼす気象条件の影響についても検討を行う。
著者氏名 ○今博計 ・ 長坂晶子
著者所属 北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場
キーワード シードトラップ, 豊凶, 虫害, 北海道, 捕食者飽食
Key word seed trap, masting, insect damage, Hokkaido, predator satiation