第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

立地部門[Forest Environment]

日付 ポスター発表
講演番号 P-289
発表題目 カラマツ根のポリフェノールと土壌窒素無機化速度との関係
Relationship between larch root polyphenols and soil nitrogen mineralization rate.
要旨本文 ポリフェノール(PP)は植物の二次代謝物であり、化学的被食防除やアレロパシー作用を及ぼす物質である。また、PPは土壌においてタンパク質と結合し難分解性の複合体となり、窒素利用可能性を低下させる原因となる。なお、PP-タンパク質複合体は、外生菌根菌に分解され一部は有機態窒素として吸収されることが知られている。本研究では、群馬県みどり市の東京農工大学FM草木において、沢から尾根にかけて点在するカラマツの根を7月と11月に採取し、根の総PPと水溶性PP濃度を分析すると同時に、周辺の表層土壌を用いて、有効態リン、C/N比およびビン培養法(20℃、28日)で窒素無機化速度を測定した。7月より11月で、総PPは上昇、水溶性PPは低下、有効態リンは低下、C/N比は変化なく、窒素無機化速度は低下した。両時期を通して、有効態リンと総PPおよび窒素無機化速度と総PPの間には、負の相関が認められた。以上のように、カラマツの根に外生菌根菌が共生しやすい環境で根の総PPが高いことから、脱落した根の分解過程で窒素無機化速度を抑制することで窒素の流出を防ぐとともに、自らの窒素の獲得を優位にしていることが示唆される。
著者氏名 ○戸田浩人1 ・ 赤羽雄2 ・ 崔東寿1
著者所属 1東京農工大学大学院農学研究院 ・ 2長野県
キーワード C/N比, ビン培養法, 斜面位置, 総ポリフェノール, 水溶性ポリフェノール
Key word C/N ratio, in vitro incubation, slope position, total polyphenols, water soluble polyphenols