第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

動物・昆虫部門[Forest Insects and Animals]

日付 ポスター発表
講演番号 P-401
発表題目 東南アジア熱帯多雨林で採集された枯死木依存性ゴミムシダマシ科甲虫
Saproxylic tenebronid beetles collected in tropical rainforests of Southeast Asia
要旨本文 森林生態系において,枯死木は炭素蓄積や生物多様性維持などの役割を果たしている。生活史のある時期を枯死木や枯死木上に認められる生物等を利用して過ごす生物を枯死木依存性生物といい,菌類や昆虫など,多くの生物が認められる。東南アジア熱帯地域は,地球上で生物多様性が最も高い地域の一つであるが,枯死木性生物については情報が限られている。そこで演者らは,種多様性の一端を明らかにするために,2009年から現在に至るまで,ボルネオ島北部の熱帯雨林8カ所において,枯死木上に発生した多孔菌類から採集されたゴミムシダマシ科甲虫の標本約2200個体について,形態を精査した。その結果,56種が認められ,このうち,Basides属3種,Boletoxenus属1種,Bolitonaeus属1種,Menimus属2種,Neomida属1種,Pentaphyllus属1種の合計9種が新種であった。採集個体数の多寡によらず,全ての調査地において少なくとも1種の新種が認められた。本調査とは別の調査では,ボルネオ島北部の原生林一カ所で枯死木から得られたゴミムシダマシが新種として記録されている。熱帯地域の枯死木依存性生物の種多様性解明にはさらなる調査が必要である。
著者氏名 ○山下聡1 ・ 安藤清志2 ・ Paulus Meleng3 ・ 市岡孝朗4
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所生物多様性・気候変動研究拠点 ・ 2愛媛大学農学部 ・ 3サラワク州森林局 ・ 4京都大学大学院人間・環境学研究科
キーワード 種多様性, キノコ食甲虫, 多孔菌, 枯死木
Key word species diversity, fungivorous beetles, polypore, decay wood