第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 ポスター発表
講演番号 P-421
発表題目 北茨城市小川群落保護林に生息する樹木疫病菌
Phytophthora species in the Ogawa Forest Reserve at Kita-Ibaraki city
要旨本文 樹木疫病菌は樹木の衰退枯死を引き起こす樹木病害として知られ、海外では深刻な森林衰退や集団枯死の原因となるPhytophthora ramorum、P. cinnamomiなどが知られる。日本においては最近本属菌の分布実態が徐々に明らかになりつつあるが、自然林内における調査は十分ではなく、その潜在的な被害発生リスクは未知である。北茨城の小川群落保護林は阿武隈高原の南端に位置し、日本の温帯林のモデル調査地として多くのデータや知見が蓄積している。本研究では小川群落保護林で樹木疫病菌の探索を行い、その生息状況の把握を行った。2019~2021年に保護林内の渓流を中心に、リター、枯死実生を採取・分離に供試した。選択培地(PARPH)を用い、生育してきた菌糸をCA培地に移植し純粋培養菌株を確立した。各菌株を形態、rDNA-ITS領域のDNA解析に基づき同定した結果、P. cambivora、P. plurivora、P. europaeaの3種が得られた。P. cambivoraはコナラ実生、フジの葉に壊死を引き起こしていた。またP. plurivoraはアカシデ落葉から高頻度に出現した。これらの種類は苗畑や海外の森林で衰退や枯死被害を引き起こす種類であるが、本調査地では顕著な被害は確認されなかった。
著者氏名 ○升屋勇人1 ・ 市原優2 ・ 筒井杏子3
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所きのこ・森林微生物研究領域 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所関西支所 ・ 3筑波大学大学院生命環境科学研究科
キーワード 樹木疫病菌, ブナ科樹木, シデ
Key word Phytophthora, Fagaceae, Carpinus