第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 ポスター発表
会場名 (学生ポスター賞の審査対象)
講演番号 P-442
発表題目 海岸盛土がクロマツの外生菌根菌群集と酵素活性に及ぼす影響
Effects of coastal embankment on ectomycorrhizal fungal communities and enzymatic activities of Pinus thunbergii
要旨本文 海岸の砂質土壌で生育するクロマツ細根の大部分には,養水分の獲得に関わる外生菌根菌が定着する.外生菌根菌は,細胞外酵素によって分解した土壌有機物を宿主樹木に供給する.東日本大震災後,被災地域の海岸林造成の際に様々な基材を用いた盛土上にクロマツ苗が植栽された.本研究では,盛土がクロマツの生育に関わる外生菌根菌の群集と栄養獲得機能に及ぼす影響を明らかにするため,外生菌根の形成状況,群集構造と細胞外酵素活性を調べた.調査は岩手県浪板海岸と前浜地区で行った.建築発生土や山砂による2ヶ所の盛土造成地のクロマツ苗と,隣接したクロマツ成木の根から菌根を採取し,実体顕微鏡下で観察し,菌根形成率を算出した.一部の菌根からは窒素やリン,炭素の獲得に関わる8種類の酵素活性を計測した後,菌種を推定するためにITS領域のDNAバーコーディングを行った.その結果,菌根形成率は75.8-100.0 %と浪板地区で高くなった.盛土造成地のクロマツ苗と,成木林の間では全体的に外生菌根菌の細胞外酵素活性が異なる傾向にあった.今後得られる菌群集のデータも加味し,盛土基材の違いが外生菌根菌の群集や栄養獲得機能に与える影響を議論する.
著者氏名 ○瀬川あすか1 ・ 山口郷彬1 ・ 北上雄大1 ・ 小長谷啓介2 ・ 村上尚徳3 ・ 成松眞樹3 ・ 松田陽介1
著者所属 1三重大学大学院生物資源学研究科 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所北海道支所 ・ 3岩手県林業技術センター
キーワード 海岸林, 栄養獲得, 生育基盤盛土, マイクロプレート法, 細胞外酵素活性
Key word coastal forest, nutrition acquisition, anthropogenic growth bases with embankment, microplate assay, extracellular enzyme activity