第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T2. 森林の放射能研究[Research on radioactivity in contaminated forest]

日付 ポスター発表
講演番号 P-474
発表題目 落葉除去による除染がスギの放射性セシウム吸収に及ぼす影響
Effect of decontamination by litter removal on radioactive cesium uptake of Japanese cedar
要旨本文 福島原発事故で樹木の表面に付着した放射性セシウム(RCs)は、降雨や落葉により、事故後数年で大部分が落葉層や鉱質土壌表層に移行した。林地隣接地の空間線量率低減を目的とした落葉除去(森林除染)は、落葉層のRCsが鉱質土壌に移り、粘土鉱物に強く吸着する前の事故後1-2年以内に行うのが効果的であると言われており、樹木のRCs吸収を低減させる効果も期待される。本研究では、2016年9-10月に落葉層の現存量が相対的に多い福島県川内村スギ林内で落葉除去が施された部分と未処理部分にそれぞれ除染区と非除染区を設定した。2022年9-10月に、除染区と非除染区で空間線量率測定とスギ内樹皮、落葉層、鉱質土壌の採取を行い、137Cs分析に供した。その結果、除染区の空間線量率は非除染区より約4割低く、落葉層と鉱質土壌の137Cs蓄積量も除染区の方が非除染区よりも低い傾向が認められた。また、除染区のスギ内樹皮の137Cs濃度は非除染区よりも低い傾向だったことから、事故後5年目の除染により、落葉層と鉱質土壌を含めた森林土壌中の137Cs蓄積量が減少し、スギの137Cs吸収量が低減した可能性が示唆された。
著者氏名 ○大前芳美1 ・ 篠宮佳樹1 ・ 阪田匡司1 ・ 坂下渉1 ・ 三浦覚1 ・ 大橋伸太2 ・ 今村直広3 ・ 赤間亮夫4
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所震災復興・放射性物質研究拠点 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所木材加工・特性研究領域 ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所北海道支所 ・ 4元国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所震災復興・放射性物質研究拠点
キーワード 福島原発事故, 放射性セシウム, 除染, 落葉除去
Key word Fukushima nuclear accident, Radioactive cesium, Decontamination, Litter removal