第134回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
T3. 樹木根の成長と機能[Development and function of tree roots]
日付 | ポスター発表 |
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会場名 | (学生ポスター賞の審査対象) |
講演番号 | P-486 |
発表題目 | 福島県におけるスギ林細根中のCs-137の深度分布に対する転流の影響 The effect of translocation on vertical distribution of Cs-137 in fine roots of Japanese cedar in Fukushima Prefecture. |
要旨本文 | 樹木細根は脱離の際に転流によって地上部から輸送された栄養を土壌に供給する。この過程でCs-137が土壌に供給されることで、樹木根が土壌中のCs-137の供給源となる可能性がある。この樹木根の寄与を明らかにするには樹木根内のCs-137下方輸送量の定量化が必要だが、その転流量を評価した研究例は少ない。そこで樹木根中の転流由来のCs-137濃度を測定し、樹木根中のCs-137深度分布に対する転流由来のCs-137の寄与を評価する。福島県のスギ林で0-5cm深の細根を対象にCs-137を含まない土壌(実験培地)及び現地土壌(対照培地)を用いた対照実験を行い、樹木根中の転流由来のCs-137を評価した。その結果、実験培地根のCs-137濃度は2.4±1.0 Bq/g、対照培地根の濃度は8.4±3.0 Bq/gとなり、転流由来のCs-137濃度は総濃度の約30%になることが示唆された。この結果から0-5cm深樹木根のCs-137吸収能を求め、この値が深度によらず一定という仮定のもと樹木根のCs-137濃度の深度分布に対する転流の寄与を評価した。その結果、深層ほど転流由来のCs-137の寄与が増加し、45cm以深では樹木根の総濃度の99%以上が転流に由来することが示唆された。 |
著者氏名 | ○井口啓1 ・ 高橋純子2 ・ 佐々木拓哉2 ・ 恩田裕一2 |
著者所属 | 1筑波大学生命地球科学研究群地球科学学位プログラム ・ 2筑波大学アイソトープ環境動態研究センター |
キーワード | 福島第一原子力発電所事故, 樹木根, 放射性セシウム, 転流, ターンオーバー |
Key word | Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident, tree root, radioactive cesium, translocation, turnover |