第134回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
S1. マツヘリカメムシ、マツ類を被食する新規外来種の急速な分布拡大とその生態について[Impact of a new invasive insects, Leptoglossus occidentalis, on Japanese pine trees and its ecological characteristics]
日付 | 2023年3月26日 |
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開始時刻 | 9:00 |
会場名 | Room 1 |
講演番号 | S1-2 |
発表題目 | カメムシ類が針葉樹種子の稔実不良に及ぼす影響の評価 Effects of stink bugs on quality deterioration of conifer seeds |
要旨本文 | 種苗の品質は外観から評価することが難しい。このため、穀類や野菜等の指定種苗の流通においては、産地や有効期限、種子では発芽率の表記が義務づけられており、その目標値も定められている。一方、閉鎖環境での育成が困難な針葉樹では、種子発芽率が変動しやすく、10%を下回ることもある。この傾向は、マツ類よりもスギ・ヒノキにおいて顕著であり、これらの球果を吸汁するカメムシ類が、発芽率の低下を招く主因と見られている。本発表では、同一採種園内に生育するヒノキのクローン母樹を対象に、2018~2019年に行った採種試験について報告する。採種に当たり、吸汁阻止を目的とした網袋による被覆区と、無被覆の対照区を設定した。種子の品質評価には、計量や化学分析による実測に加え、近赤外分光法に基づく非破壊推定の手法を併用した。被覆の有無によらず、稔実粒の重量や化学的特性に顕著な差は認められなかった。一方、被覆区における稔実粒の収量は、対照区と比べ、球果あたりで約8倍、枝長あたりで約37倍に達した。このように、ヒノキにおけるカメムシ被害は甚大であり、持続的な種子生産の観点から、マツ類の球果を吸汁する新規外来種の防除は喫緊の課題と言える。 |
著者氏名 | ○松田修1 ・ 小川健一2 |
著者所属 | 1九州大学大学院理学研究院 ・ 2岡山県農林水産総合センター生物科学研究所 |
キーワード | カメムシ, 種子生産, 不稔性, 稔実率, 近赤外分光法 |
Key word | stink bug, seed production, sterility, fertility rate, near-infrared spectroscopy |