第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

S2. 環境変化にともなう樹林地生産性に関わる被食防衛[Forest productivity affected by plant defense capacity under changing environments]

日付 2023年3月26日
開始時刻 13:00
会場名 Room 4
講演番号 S2-3
発表題目 紫外線と被食防衛
Mini-review: the role of UV-radiation on the plant defense to herbivory
要旨本文 本発表では紫外線の性質と、農林分野における利用について紹介する。紫外線はUV-C(100-280nm)、UV-B(280-320nm)、UV-A(320-400nm)に区別される。UV-CとUV-Bのほとんどは成層圏オゾン層などに吸収される。1980年代に大気汚染物質による成層圏オゾン層の破壊が観測されたが、現在成層圏オゾン層は回復傾向の見込である。地表に届く紫外線は、日射のうち数%を占めるUV-Aと0.1%程度を占めるUV-Bである。短波長の光ほど強いエネルギーを持ち、また核酸の吸光特性は260nm付近に吸収極大を持つためUV-Bを吸収しやすい。紫外線から花を守るために、ハンカチノキは多量のフラボノイド化合物を含む苞葉を持つ。紫外線はリター中のリグニン等の高分子化合物を低分子化合物に光分解することで、森林の炭素循環にも関わっている。紫外線の化学的な性質の応用例として、ハウス栽培での病害虫の抑制にUV-Bランプが活用されている。昆虫の紫外線への走向性を応用した害虫防除手法として、誘蛾灯や、紫外線を透過させないことで害虫の侵入を防ぐ紫外線カットフィルムが、施設園芸分野で活用されている。
著者氏名 ○北岡哲 ・ 信濃卓郎 ・ 鈴木卓
著者所属 北海道大学大学院農学研究院
キーワード 紫外線, 被食防衛, 光質
Key word UV-radiation, plant defense to herbivory, light quality