第134回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
S2. 環境変化にともなう樹林地生産性に関わる被食防衛[Forest productivity affected by plant defense capacity under changing environments]
日付 | 2023年3月26日 |
---|---|
開始時刻 | 13:00 |
会場名 | Room 4 |
講演番号 | S2-6 |
発表題目 | 高CO2濃度環境下での落葉広葉樹の被食防衛 Defensive traits of deciduous broad-leaved trees under elevated CO2 |
要旨本文 | 大気中CO2濃度上昇は、光合成能や蒸散など樹木の生理機能の変化を通して、木本植物と植食者の関係に影響することが予測されている。本研究では、北海道の主要落葉広葉樹3種を高CO2濃度環境下で生育させ、葉の被食防衛能がどのように変化するのか解明することを目的とした。試料は、2年生のホオノキ、ミズナラ、ブナとし、CO2付加区 (720 ppm)および対照区 (360 ppm)で2年間生育させた。その後、成熟葉を採取し、LMA、C/N比、総フェノール量、縮合タンニン量を測定した。また、葉内のフェノール性物質の分布について顕微鏡観察を行った。 その結果、高CO2濃度下での被食防衛能の変化は、樹種により異なった。ホオノキやミズナラと異なり、ブナは全ての測定項目においてCO2付加区で有意に増加した。これはシュートの成長様式と関連があると考えられる。つまり、他の2種と異なりブナは固定成長を行うため、高CO2濃度環境下で発生した余剰の光合成産物は成長よりも被食防御物質(フェノール性物質)の生合成に利用され、結果的に被食防衛能が増大したと考えられる。フェノール性物質の葉内分布については、全ての樹種で変化しないことが明らかとなった。 |
著者氏名 | ○渡辺陽子 |
著者所属 | 北海道大学大学院農学研究院 |
キーワード | 高CO2, 被食防衛, 落葉広葉樹, 縮合タンニン |
Key word | elevated CO2, defensive traits, deciduous broad-leaved trees, condensed tannin |