第134回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
S2. 環境変化にともなう樹林地生産性に関わる被食防衛[Forest productivity affected by plant defense capacity under changing environments]
日付 | 2023年3月26日 |
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開始時刻 | 13:00 |
会場名 | Room 4 |
講演番号 | S2-7 |
発表題目 | 土壌環境の異なるコナラ成木の樹冠内における葉の特性と虫害の鉛直分布 Vertical distributions of leaf traits and leaf herbivory within a canopy of oak trees grown in different soil conditions |
要旨本文 | 本研究では異なる土壌環境に生育するコナラ成木の葉の特性と植食者による食害率の樹冠内鉛直分布を調べた。2019年7月に東京農工大学農学部附属フィールドミュージアム多摩丘陵、草木、津久井、秩父、唐沢山および府中の6地点で、コナラ成木6個体の樹冠内5高度から葉を採取した。採取した葉の食害率、葉の糖、デンプンおよびタンパク質などの一次代謝物質の濃度、フェノール化合物などの化学的防御物質の濃度、細胞壁量および葉硬などの物理的特性を測定し、葉の食害率と各特性の鉛直分布を解析した。土壌環境として、鉱質土壌の養分濃度や窒素無機化速度などを測定した。葉の食害率は、貧栄養な環境よりも富栄養な環境のコナラの方が高かった。一方、全調査サイトにおいて、コナラ成木の葉の食害率に、樹冠位置による明確な違いはなかった。化学的防御物質であるフェノール化合物の濃度は樹冠上部で高く、樹冠下部にかけて減少した。一方、物理的防御の一つである細胞壁量は樹冠上部で低く、樹冠下部にかけて増加した。以上より、コナラは樹冠位置によって主な防御手段が異なり、その結果として、葉の食害率に樹冠内鉛直分布が見られなかったと考えられる。 |
著者氏名 | ○渡辺誠1 ・ 則定優成2 ・ 田中亮志3 ・ 伊豆田猛1 |
著者所属 | 1東京農工大学大学院農学研究院 ・ 2東京農工大学大学院農学府 ・ 3東京農工大学大学院連合農学研究科 |
キーワード | コナラ, 窒素利用性, 鉛直分布, 葉形質, 被食防衛 |
Key word | Quercus serrata, nitrogen availability, vertical distribution, leaf traits, defense against herbivory |