第134回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
S7. 生理部門企画シンポジウム「光エネルギーの上手な利用」とポスター紹介[Tree Physiology Section Symposium “Wise use of photoenergy” and poster introduction]
日付 | 2023年3月26日 |
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開始時刻 | 9:00 |
会場名 | Room 4 |
講演番号 | S7-1 |
発表題目 | 野外の変動する光に対する光合成系のダイナミクス Dynamics of photosynthesis in response to fluctuating light in the field |
要旨本文 | 光合成は植物成長を決定づける重要な反応であるが、自然環境において光合成機能が最大限に発揮できる環境は少ない。たとえば、強光下では過剰な光エネルギーが光阻害を引き起こす一方で、弱光下では光強度が光合成反応を律速してしまう。また、自然環境では植物の受ける光強度が一日を通して常に変動しているため、光合成効率のさらなる低下を招いている。変動する光環境の中で、弱い光から強い光への急な変化に対して光合成の速度は俊敏に応答できず、緩やかに上昇しながら最大値に達する。この応答は光合成誘導反応と呼ばれ、野外環境にある植物の成長を決定づける要因の一つとなる。現在のところ、どのような因子が光合成誘導反応を律速しているのか、その分子機構は未だ解明されてない点が多い。これまでの私たちの研究成果によって、光合成誘導の初期過程には、光合成系電子伝達反応が主な律速要因となり、その後、CO2固定の鍵酵素であるRubiscoの活性化や、大気中のCO2を葉内に取り込む「玄関」となる気孔の開口が重要な役割を果たすことを明らかにしてきた。本講演では、これらの研究結果をふまえて、光合成系の変動光応答メカニズムについて議論する。 |
著者氏名 | ○矢守航 |
著者所属 | 東京大学大学院農学生命科学研究科 |
キーワード | 光合成, 変動光, 電子伝達, 気孔, 炭酸固定 |
Key word | photosynthesis, fluctuating light, electron transport, stomata, CO2 fixation |