第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T1. 生物多様性保全と森林管理[Biodiversity conservation and forest management]

日付 2023年3月26日
開始時刻 14:30
会場名 Room 5
講演番号 T1-5
発表題目 防風林管理が育む絶滅危惧種と生物多様性
Management and landscape of shelterbelts contribute to butterfly and flowering plant diversity in northern Japan
要旨本文 防風林は、主に農地の風害などを軽減し、農業の生産性を直接高める機能が期待されてきた。同時に、絶滅危惧種の避難場所としての機能など、多様な生物の生息場所としての役割を担っているが、防風林の景観や更新施業・下刈りなどの管理が生物多様性にもたらす影響はよくわかっていない。本研究では、北海道を代表する防風林景観がある十勝地域において、カラマツ人工防風林とその周囲の景観として林縁、林内、更新地、草原の4つの景観を対象に、チョウ類と開花植物の多様性を比較した。その結果、防風林の林縁や更新地、周辺の草原では、絶滅危惧種を含む多くのチョウや植物の開花が認められた。また草原や更新地では、それぞれ特有のチョウや植物の開花が見られた。林内では、種数・個体数は少なかったが、絶滅危惧種の植物の開花が認められた。したがって、防風林を含む景観の維持や防風林管理によって、チョウや開花植物の多様性維持に好適な環境が創出されていると考えられた。今後、防風林や周辺に生息する種の生態特性を踏まえた上で、既存の管理方法にうまく組み込むことで、絶滅危惧種や生物多様性保全と防風林本来の減風機能を両立する持続的管理が可能であろう。
著者氏名 ○速水将人1 ・ 中濱直之2,4 ・ 岩﨑健太3 ・ 新田紀敏1
著者所属 1北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場 ・ 2兵庫県立大学自然・環境科学研究所 ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 ・ 4兵庫県立 人と自然の博物館
キーワード 森林管理, 絶滅危惧種, 防風林, 生物多様性, 保全
Key word Forest management, Endangered species, Shelterbelts, Biodiversity, Conservation