第134回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
T2. 森林の放射能研究[Research on radioactivity in contaminated forest]
日付 | 2023年3月26日 |
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開始時刻 | 9:45 |
会場名 | Room 5 |
講演番号 | T2-2 |
発表題目 | 大気沈着形態が森林の放射性セシウムの初期挙動に及ぼす影響 Effects of atmospheric deposition mode on the initial behavior of radiocesium in forests |
要旨本文 | 森林は大気降下物の効率的な受容体として機能するため,大気から森林への物質沈着フラックスを増加させる。一方で,森林への放射性セシウムの沈着形態が,沈着初期の林内での空間分布やその後の移行速度に及ぼす影響は福島原発事故のほかチェルノブイリ原発事故においても十分に明らかにされていない。そこで本研究では,福島県の多地点の森林を対象とした広域測定データを用いて,沈着形態が放射性セシウムの初期分布やその後の移行速度,空間線量率の時間変化に及ぼす影響について解析した。その結果,湿性沈着が支配的な地域では, 2011年の測定データでは立木密度が大きい森林ほど林床の汚染レベルが低く,林内空間線量率も低くなる傾向を示した。一方で,乾性沈着が支配的な地域や,初期沈着から5年間が経過した2016年の測定データではそのような傾向は観測されなかった。このことから,森林樹冠による放射性セシウムの初期遮断は,一般に乾性沈着が主な地域ほど高いが,その後に雨水や落葉により樹冠からの除去が進むことでその影響が不明瞭になることが分かった。また,木部組織への放射性セシウムの取り込みは,湿性沈着でも乾性沈着でも有意な差は認められなかった。 |
著者氏名 | ○加藤弘亮 ・ Anderson, Donovan ・ 恩田裕一 |
著者所属 | 筑波大学アイソトープ環境動態研究センター |
キーワード | 福島第一原子力発電所事故, 森林, 放射性セシウム, 空間線量率, 沈着形態 |
Key word | Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident, Forest, Radiocesium, Air dose rate, Deposition mode |