第134回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
T3. 樹木根の成長と機能[Development and function of tree roots]
日付 | 2023年3月26日 |
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開始時刻 | 11:00 |
会場名 | Room 6 |
講演番号 | T3-6 |
発表題目 | ヨーロッパアカマツの根の滲出物が泥炭の分解にもたらす影響 Effect of root exudate of Scots pine on the decomposition of peat in Finland |
要旨本文 | 北緯66度以北に広がる周極域北方林の土壌には、膨大な量の炭素が数千年に亘って泥炭(Peat)として蓄積されている。しかしながら気候変動や人間活動に伴うPeatの分解が、温暖化ガスである二酸化炭素の放出を加速し、流域からの溶存有機物(DOM)の流出を招く危険性が懸念されている。Peatの分解は溶存性の易分解性DOMが土壌微生物活動のプライミング効果を引き起こすことで進行する。森林におけるDOMは、林内雨や落葉落枝、根からの滲出物などが挙げられるが、これらの有機物がPeatの分解に与える影響は殆ど明らかでない。そこで本研究は、北方林の根の滲出物がPeatの分解にもたらす影響を明らかとすることを目的とした。2022年夏にフィンランド北東部でヨーロッパアカマツの根から根の滲出物を採取した。同時に試験地よりPeatを採取し、(1)超純水のみ、(2)根の滲出物のみ、(3)超純水及びグルコース、(4)根の滲出物及びグルコースの4種類の溶液に浸した。その後、Peatの分解指標として、放出するCO2を計測したところ、他の条件よりも(4)の条件下で、CO2放出量が高い値となった。これらの結果から、根の滲出物はPeatの分解を促進する効果を持つことが示された。 |
著者氏名 | ○大橋瑞江1 ・ 遠藤いず貴1,2 ・ 西村裕志3 ・ 井手純一郎2 |
著者所属 | 1兵庫県立大学環境人間学部 ・ 2公立千歳科学技術大学理工学部 ・ 3京都大学生存圏研究所 |
キーワード | 根の滲出物, 泥炭, ヨーロッパアカマツ, 分解 |
Key word | Root exudate, Peat, Scots pine, Decomposition |