第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付 2024年3月10日
開始時刻 11:15
会場名 442
講演番号 H5
発表題目 ササ優占型成熟林におけるギャップサイズが林床植生に及ぼす影響
Effects of Gap Size on the Forest Floor Vegetation in Matured Beech Forests With Dense Dwarf Bamboo
所属 筑波大学
要旨本文 林冠ギャップは、森林の植生構造と動態に重要な影響を与える。先行研究では、ギャップサイズが林床植生の多様性に影響を及ぼすことが報告されているが、そのメカニズム解明には至っていない。本研究では、環境要因に着目し、ギャップサイズの増加に伴うギャップ内林床植生の変化メカニズムの解明を目的とした。調査はササ優占型ブナ成熟林である長野県カヤノ平ブナ林で2023年7月に実施した。具体的には、UAV画像で推定した約20m2〜370m2のギャップ15個を調査対象とした。各ギャップで大きさの異なる調査区を複数個設置し、樹木実生と低木の出現種を記録して種数―面積曲線を作成することで出現種数を推定した。同時に各ギャップにおいて、異なる高さでの相対光強度などの環境要因を計測した。その結果、樹木実生と低木のいずれも、ギャップサイズが大きいほど有意に出現種数が増加した。またそれはギャップ面積の増加に伴う、ギャップ内の光強度のばらつきが増加したためであると考えられた。この光強度のばらつきはギャップ内のササが作り出していたことが示唆され、これはササ優占型の冷温帯林に特有のメカニズムであると考えられた。
著者氏名 ○植田時1 ・ 井田秀行2 ・ 廣田充3
著者所属 1筑波大学生命環境学群 生物学類 ・ 2信州大学大学院総合理工学研究科 農学専攻 ・ 3筑波大学生命環境系
キーワード 撹乱, 森林動態, ニッチ理論, 中立論
Key word disturbance, forest dynamics, niche theory, neutral theory