講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付	2024年3月10日
開始時刻	14:30
会場名	442
講演番号	H8
発表題目	順次展葉するダケカンバ幼樹の総一次生産と葉群形質の関係 GPP and canopy structure of sequential expanding-leafed Betula
所属	筑波大学大学院
要旨本文	植物の総一次生産(GPP）の定量化は、植物の成長メカニズムや生態系の物質循環の理解に欠かせない。これまで、個葉スケールと生態系スケールで多くの研究が行われてきた一方、植物の個体スケールでのGPPに関する研究、特に実測を基にする研究は、測定の困難さから非常に少ない。本研究では、植物の成長メカニズムの理解の深化を目的として、ダケカンバ幼樹を対象に個体スケールのGPPを計測し、葉群形質との関係を調べている。2023年5月から9月まで、八ヶ岳演習林で産地試験を実施中のダケカンバ幼樹の個体スケールのGPPとともに、葉群形質を定期的に計測した。月積算GPPは5月の7.1mol・CO₂/monthから８月の12.2mol・CO₂/monthまで増加傾向が見られ、9月は11.3mol・CO₂/monthまで減少した。個体あたりの葉枚数も5月の36枚から8月の240枚まで増加傾向が見られ、9月は192枚まで減少した。月積算GPPと葉枚数はこのような同様の季節変化を示し、その間に強い正の相関（R2＞0.85）がみられた。この結果から、葉枚数は個体スケールのGPPに強く影響することが示唆された。発表では、窒素負荷処理によるGPPと葉群形質の関係変化も紹介し、本種の成長メカニズムについて深く議論する。
著者氏名	○柘㯰匡1 ・ 廣田充2 ・ 後藤晋3 ・ 津村義彦2
著者所属	1筑波大学大学院生命環境科学研究科 ・ 2筑波大学生命環境系 ・ 3東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林教育研究センター
キーワード	種内変異, 閉鎖型チャンバーシステム, 窒素負荷, フェノロジー
Key word	intraspecific variation, closed chamber system, nitrogen addition, phenology