第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

防災・水文部門[Forest Disaster Prevention and Hydrology]

日付 2024年3月10日
開始時刻 10:00
会場名 343
講演番号 J8
発表題目 森林流域のかく乱に伴う渓流水の硝酸態窒素濃度の長期変動とその規定要因
Long-term variation of nitrate concentration in streamwater from a disturbed forested catchment and its determinants
所属 京都府立大学
要旨本文 滋賀県南部に位置する桐生水文試験地において、渓流水・地下水の長期観測を行っている。この流域は森林流域で、流域の一部に存在したアカマツが1990年代にマツ枯れにより枯死し、現在は60年生のヒノキ人工林となっている。マツ枯れの影響で渓流水の硝酸態窒素濃度が上昇し、1990年代後半にピークに達した。2005年にかけて濃度は低下したものの、その後再び上昇し、2013年以降は一定濃度で推移しており、現在でもかく乱発生前の濃度レベルには戻っていない。2004年から2012年頃の期間はその前後に比べ比較的濃度が低い期間が続いた。年間の大気からの窒素降下物量を見るとこの期間に明瞭な変化は見られなかった。一方、年間の降水量に対する直接流出量の比(直接流出率)は2000年頃から2010年頃にかけて、その前後よりも小さい期間であった。地下水の硝酸イオン濃度は表層で高く下層で低い分布があり、直接流出率が低い期間には表層地下水の流出に対する寄与が小さいために濃度が低くなると考えられる。また、直接流出率低下と濃度低下の期間のずれは地下水・渓流水の平均滞留時間に相当した。
著者氏名 ○勝山正則1 ・ 大手信人2
著者所属 1京都府立大学大学院生命環境科学研究科 ・ 2京都大学大学院情報学研究科
キーワード 水文過程, 長期観測, 渓流水, 硝酸態窒素, 森林かく乱
Key word Hydrological Proceses, Long-term observation, Streamwater, Nitrate, Forest disturbance