要旨本文 |
二酸化炭素の排出量削減等の国際問題へ対応するため、農林水産省は「2050年までに化学肥料の使用量を30%低減する」という目標を掲げている。この目標に貢献するため、私たちは植物のアレロパシーに注目した。アレロパシーとは植物が出す化学物質が他の植物や微生物に影響を与えることである。一般にアレロパシーは阻害作用が顕著であるが、促進作用を持つものもある。アレロパシー効果を利用することで作物の生育を促進させ化学肥料の使用量を減らすことができるのではないかと考えた。ルッコラはインゲンマメのコンパニオンプランツであり、生育促進効果があると言われている。ここにアレロパシー効果が関わっていることを確かめるため、実験を行った。ルッコラの水溶性の成分のみを抽出し、寒天培地に添加した。添加量を抽出液なし、抽出液あり(0.24g/L、0.72g/L、0.96g/L、1.2g/L、1.44g/L)の6種類の寒天培地を作成し、種子を置いて1週間後の生育の様子を比較した。実験の結果よりルッコラの添加量0.72g/L、0.96g/Lの培地では根の伸長促進効果を確認できたが(p<0.05)、それ以外では促進効果は見られなかった。ルッコラのインゲンマメへのアレロパシー効果には最適なアレロケミカル濃度があると考えられる。 |