第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

動物・昆虫部門[Forest Insects and Animals]

日付 2024年3月10日
開始時刻 10:45
会場名 332
講演番号 L5
発表題目 ナラ枯れの原因はどこまで解明されたのか?
To what extent has the cause of Japanese oak wilt disease been elucidated ?
所属 京都府森林技術センター
要旨本文 ナラ枯れは,北海道で新たに確認されるなど,今なお深刻な森林被害である。ナラ枯れを抑えるためには原因を知る必要があるが,原因は一つではないことの方が多く,主因,誘因,素因に分けて考察すべきである。枯死木には例外なくカシノナガキクイムシ(以下,虫)が穿孔しており,虫による物理的破壊と虫が媒介する病原菌が主因であると考えられる。しかし,ナガキクイムシ科は二次性の種が多いことから,酸性雨,大気汚染,温暖化などが誘因として指摘されている。演者は,虫の飼育などを通じて「燃料革命によって薪炭林が放置され,虫の繁殖に有利な大径木が増えたことがナラ枯れの要因だ」と主張した。しかし,この説は「燃えやすい物が増えたから火事が増えた」と言っているのと同じで,発火原因は明確になっていない。ナラ枯れと同様の被害が,温暖化が顕著になり始めた1980年代以降,海外でも多発している。また,温暖化によって栗の凍害が深刻化している。そこで,演者は,温暖化による樹木の衰弱がナラ枯れの発火原因だと考え,それを指示するデータを取得してきた。これらの他に,人為(樹幹注入やフェロモン剤など)が発火原因になっていると考えられる。
著者氏名 ○小林正秀
著者所属 京都府農林水産技術センター森林技術センター
キーワード カシノナガキクイムシ, ナラ枯れ, 温暖化
Key word Platypus quercivorus, Japanese oak wilt disease, global warming