第135回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
経営部門[Forest Management]
日付 | 2024年3月8日 |
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開始時刻 | ポスター発表 |
会場名 | 531 |
講演番号 | PD-3(学生ポスター賞審査対象) |
発表題目 | 統計的因果推論に基づく保安林が皆伐に与える影響の評価 Impact of protection forests on clear-cutting based on statistical causal inference |
所属 | 九州大学 |
要旨本文 | 保安林とは、水源の涵養、土砂の崩壊その他の災害の防備、生活環境の保全・形成等、特定の公益目的を達成するために指定される森林である。保安林では、目的に沿った森林の機能を確保するため、立木の伐採や土地の形質の変更が規制されている。本研究では、保安林の設定が皆伐を抑制する要因となりうるのか検証するため統計的因果推論に基づく評価を行った。研究の対象は日本全国の森林域とし、2005年から2015年までの皆伐を対象とした。まず、日本国内の森林域からランダムにサンプルを選択した。各サンプルに対して、皆伐の有無、保安林の内外に加え、標高や傾斜角といった共変量の値を付与した。作成したサンプルに傾向スコアマッチングを適用し、マッチング後のサンプルを用いて皆伐確率に対する処置群の平均処置効果(ATT)を推定した。結果としてATTの推定値は-0.0055であり5%水準で有意だった。都道府県別に見ると正と負の値をとる地域がそれぞれみられた。全国レベルで見ると保安林には皆伐抑制効果が見られたがその効果は極めて少なく、またその抑制効果には地域差があると言える。以上のことから保安林は必ずしも皆伐を抑制する要因になるとは限らないと結論付けた。 |
著者氏名 | ○古田光樹1 ・ 太田徹志2 ・ 溝上展也2 |
著者所属 | 1九州大学農学部 ・ 2九州大学大学院農学研究院 |
キーワード | 統計的因果推論, 保安林, 皆伐 |
Key word | statistical causal inference, protection forests, clear-cutting |