第135回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]
日付 | 2024年3月8日 |
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開始時刻 | ポスター発表 |
会場名 | 531 |
講演番号 | PF-11 |
発表題目 | 多検体全ゲノムが描くミズナラ-コナラ交雑帯の遺伝的ダイナミクス Revealing the genetic dynamics within the Quercus crispula–serrata hybrid zones through hundreds of whole genomes |
所属 | 京都大学 |
要旨本文 | 気候変動が森林構成種の進化動態に与える影響を理解することは、森林生態系の多様性の保全に不可欠である。この影響を明らかにする上で、環境傾度に沿った交雑帯の遺伝的クラインは、対象種の自然選択を観察・研究し、気候変動の影響の評価に適している。本研究では、ミズナラとコナラの交雑帯を対象に、ゲノムと葉形質に焦点を当てて、標高に対する変化を詳細に解析した。日本各地の3つの交雑帯から採取された450株の全ゲノムシーケンスを解析し、葉の気候適応形質として個葉面積と鋸歯の深さ(Lobation index)を測定した。結果、2つの交雑帯で標高に沿ったコナラからミズナラへの遺伝的推移が確認され、交雑帯が6世代以上にわたり安定して維持されていることが明らかになった。また、気候適応形質では、遺伝的クラインに沿って、寒冷環境への適応的変化が観察された。これらの結果は、低標高地域ではコナラ、高標高地域ではミズナラが自然選択により優位になることを示唆し、気候変動による環境変化が遺伝的クラインの変動を引き起こす可能性を示している。ミズナラ-コナラ交雑帯は、気候変動に対する森林構成種の進化的応答を理解するモデル系となる。 |
著者氏名 | ○伊藤僚祐 ・ 紺頼楓 ・ 大村栗太 ・ 砂山星也 ・ 小野田雄介 ・ 井鷺裕司 |
著者所属 | 京都大学大学院農学研究科 |
キーワード | コナラ属, 交雑帯, 全ゲノム |
Key word | Quercus, Hybrid zone, Whole genome sequencing |