講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

日付	2024年3月8日
開始時刻	ポスター発表
会場名	531
講演番号	PF-12（学生ポスター賞審査対象）
発表題目	近畿地方の里山林に生育するコナラの遺伝構造 Genetic Structure of Quercus serrata (Quercus serrata) Growing in Coppices in the Kinki Region
所属	東京大学
要旨本文	人による種苗の持ち運びや森林の伐採は、遺伝的浮動や遺伝子流動、自然選択といった遺伝構造の形成や進化を駆動する要因に作用する。里山林は人工林に比べ自然度の高い森林であるが、遺伝構造や遺伝的多様性は長期にわたる人間活動の影響を受けている可能性がある。本発表では温帯の里山林を代表する樹種であるコナラを対象に、近畿地方の里山林における遺伝構造を明らかにし、社会的な立地特性からその影響を考察する。　滋賀3ヶ所・京都1ヶ所・兵庫4ヶ所の里山林、計99個体について既存の葉緑体SSRマーカー６座を用いてハプロタイプを決定した。全部で7つのハプロタイプが検出され、集団内の遺伝的多様性は滋賀の2集団でH=0.60、0.58と高く、他の集団ではH=0～0.18と低かった。ハプロタイプの分布については、地理的に近い集団で優占するハプロタイプが共通する構造が見られた。このことから、コナラの歴史的な分布変遷による遺伝構造が維持されていることが示唆された。一方、兵庫県南部の近接する3集団のうち1集団が他の2集団と異なるハプロタイプに固定されており、物理的距離以外の要因が遺伝構造の形成に作用した可能性が考えられた。
著者氏名	○三上夏生 ・ 齊藤陽子 ・ 日浦勉
著者所属	東京大学大学院農学生命科学研究科
キーワード	遺伝構造, 里山管理, 遺伝的多様性, 遺伝資源保全
Key word	genetic structure, ,satoyama management, genetic diversity, conservation of genetic resource