第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

日付 2024年3月8日
開始時刻 ポスター発表
会場名 531
講演番号 PF-13(学生ポスター賞審査対象)
発表題目 カエデ属Palmata節6種の秩父山地における葉緑体DNAの種間及び種内変異
Chloroplast DNA variation in six Acer genus Palmata section species in the Chichibu Mountains.
所属 日本女子大学大学院
要旨本文 秩父山地にはカエデ属Palmata節6種が生育する。同所的に生育する近縁種間の生態的・生理的相違や種間交雑の有無などは種分化や共存機構を理解するうえで必要な知見である。これまでに発表者らは6種のうちヒナウチワカエデとコハウチワカエデについて核SSR解析と葉緑体DNA解析を行い、2種が交雑する可能性を指摘した。さらに葉のトライコーム密度を測定し、2種間で有意に異なったことから食害に対する防御機構が異なると考えた。そこで本研究では対象を上記6種に広げ、遺伝的関係を明らかにするため独自に開発した4領域の葉緑体DNAシーケンスを行い、全79個体のハプロタイプを決定した。複数個体でみられるハプロタイプは計10個検出され、すべての種が複数のハプロタイプを持っていた。また、1つのハプロタイプは4種で、5個はそれぞれ2つの種で共有し、祖先多型や直接的・間接的な遺伝的交流が示唆された。また、防御物質の種間差を明らかにするためヒナウチワカエデとコハウチワカエデの葉のタンニンとフェノール濃度を測定したところ、タンニン濃度は2種間に有意な差があった。このことから、2種の防御機構が異なっている可能性が支持された。
著者氏名 ○戸口侑紀1 ・ 上田実希1 ・ 黒河内寛之6 ・ 中村琢磨4 ・ 平尾聡秀3 ・ 芝野萌菜実5 ・ 斎藤陽子2
著者所属 1日本女子大学大学院理学研究科 ・ 2東京大学大学院農学生命科学研究科 ・ 3東京大学大学院農学生命科学研究科 附属演習林 フィールドデータ研究センター ・ 4九州大学農学部附属福岡演習林 ・ 5那須どうぶつ王国 ・ 6元東京大学大学院農学生命科学研究科
キーワード 近縁種, 葉緑体DNA, カエデ
Key word closely-related species, Chloroplast DNA, Acer