講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

日付	2024年3月8日
開始時刻	ポスター発表
会場名	531
講演番号	PF-7
発表題目	タカネザクラ集団の環境適応遺伝変異の空間モデリング Spatial modeling of genetic variation associated with environmental adaptation in populations of Cerasus nipponica
所属	多摩森林科学園
要旨本文	タカネザクラは日本のサクラ類の中では最も高標高域に生育し、中部地方以北の本州から北海道、千島、樺太南部にかけて分布する。本種は高い耐寒性を示す一方で暑さには弱く、今後、加速する温暖化の影響は顕著に現れることが予測される。そこで、本研究では温暖化後の気候環境がタカネザクラに与える影響を適応遺伝変異の観点から評価した。まず、分布域を網羅するように26集団370個体をサンプルし、ゲノム全域からDNA多型データを抽出して、各集団の生育環境データとの関連解析を行い、環境傾度に沿った適応遺伝変異の保有状況について明らかにした。次いで、空間モデリングの手法を用いて、検出した適応遺伝変異と気候変数の関係を解析し、自然選択が強く作用する地域や選択圧をもたらす環境要因を推定した。更に、将来気候下において、現在の適応遺伝変異の分布がどの程度のリスクに晒されるかについて評価した。2016年の森林学会において、タカネザクラは北海道から東北にかけての北東集団と本州中部山岳の南西集団に遺伝的に分化していること、南限集団の遺伝的多様性が低いことを報告しているので、本研究ではその点も踏まえながら得られた結果を考察する。
著者氏名	○加藤珠理1 ・ 内山憲太郎2 ・ 松本麻子2 ・ 河原孝行3 ・ 吉丸博志3 ・ 向井譲4
著者所属	1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所多摩森林科学園 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所樹木分子遺伝研究領域 ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 ・ 4岐阜大学応用生物科学部
キーワード	サクラ, タカネザクラ, RAD-Seq, 環境適応, 高山植物
Key word	Prunus, Cerasus nipponica, RAD-Seq, environmental adaptation, alpine plant