第135回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
生理部門[Tree Physiology]
日付 | 2024年3月8日 |
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開始時刻 | ポスター発表 |
会場名 | 532 |
講演番号 | PG-11(学生ポスター賞審査対象) |
発表題目 | トドマツの加齢と個体サイズに依存した針葉の発現変動遺伝子と生理機能評価 Transcriptome analysis of needles in relation to body-size and aging in Todo-fir, a conifer in Hokkaido |
所属 | 北海道大学 |
要旨本文 | 樹高限界に達して大径化した老齢木では、針葉の生理機能が樹体の加齢や養水分等の制限により低下する恐れがある。我々は前回大会で天然生トドマツ10個体(樹高17-27m、胸高直径27-92cm)の陽樹冠において、1年生針葉のリン含有率と光化学系IIの最大量子収率(Fv/Fm)が個体サイズの増加にともない低下することを報告した。本報告は前報と同じ材料で次世代シーケンサーによるmRNA-Seqを行い、遺伝子オントロジー(GO)解析に基づきトドマツ老齢木の針葉で機能が低下する生理作用を評価した。 光合成と呼吸のGOは、老齢木で集光から電子伝達経路までの再構築が活発であることを示唆した。リン代謝および光合成と糖代謝のGOは、リン欠乏に起因した光合成エネルギー生産の低下を示唆した。水分関連では、老齢木で浸透圧の調節作用が示唆された。この他、老齢木では物理刺激と生物刺激への応答、抗酸化作用、防御機能などの高発現が有意であった。なお、加齢と老化関連のGOは、個体サイズ依存や老齢木に特異的な発現変動を示さず、樹体の加齢と針葉の生理機能には直接的な関係が認められなかった。以上、トドマツ老齢木の針葉では光合成作用の低下と維持コストの増大が示された。 |
著者氏名 | ○田嶋健人1 ・ 前田唯眞1 ・ 松田侑樹1 ・ 斎藤秀之2 ・ 宮本敏澄2 ・ 渋谷正人2 |
著者所属 | 1北海道大学大学院農学院 ・ 2北海道大学大学院農学研究院 |
キーワード | トドマツ, 加齢, 個体サイズ, mRNA-Seq, 生理機能評価 |
Key word | Todo-fir, Aging, Body size, mRNA-Seq, Evaluation of physiological function |