第135回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

日付 2024年3月8日
開始時刻 ポスター発表
会場名 531
講演番号 PG-2(学生ポスター賞審査対象)
発表題目 北方針広混交林2樹種の光合成電子伝達系に及ぼす高温下の光阻害
Photoinhibition of photosynthetic electron transport system under high temperature in two trees of boreal mixed forest
所属 北海道大学
要旨本文 北方針広混交林では亜寒帯性針葉樹と冷温帯性広葉樹で異なる温暖化影響が予想されている。光合成のPSⅡとPSⅠは高温で光阻害が助長され、適度な高温(~約35℃)は可逆的な損傷を、過度な高温では不可逆的な損傷を与える。この温度閾値は光阻害の回避メカニズムの種特性に依存することが予想される。本研究は、北方針広混交林の主要樹種であるトドマツとミズナラを対象に、高温下における光阻害についてPSⅡおよびPSⅠを区別して比較検討した。材料は天然生針広混交林の下層木から採取した個葉であり、実験条件は光照射下で35℃および40℃であった。PSIIとPSIのそれぞれの活性(Fv/Fm, Pm)を2樹種で比較したところ、トドマツの低下率がミズナラに比べて大きく、特にPSIIの低下率が顕著であった。理由として、PSIIの非光化学的消光(NPQ)の温度特性に起因していることが考えられた。高温処理から24時間後の回復率で不可逆性を検討したところ、トドマツの回復率が低く、温度閾値はトドマツが35~40℃で、ミズナラ(>40℃)に比べて低かった。よって、トドマツはミズナラよりも高温下の光阻害に対して脆弱であり、温暖化で成長阻害を受けやすいと考えられた。
著者氏名 ○松田侑樹1 ・ 前田唯眞1 ・ 田嶋健人1 ・ QIANG, HAOYANG1 ・ 斎藤秀之2 ・ 宮本敏澄2 ・ 渋谷正人2
著者所属 1北海道大学大学院農学院 ・ 2北海道大学大学院農学研究院
キーワード 針広混交林, トドマツ, ミズナラ, 高温, 光阻害
Key word a mixed forest, Todo-fir, white oak, high temperature, Photoinhibition