第135回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
生理部門[Tree Physiology]
日付 | 2024年3月10日 |
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開始時刻 | ポスター発表 |
会場名 | 532 |
講演番号 | PG-22 |
発表題目 | ブナ樹冠の葉の長鎖ノンコーディングRNA発現の年変動とマスティング Inter-annual variation of long non-coding RNA of leaves related to masting in a beech tree crown |
所属 | 北海道大学 |
要旨本文 | 開花結実の豊凶が明瞭なマスティング型と呼ばれる樹木では、生殖器官の着生有無で変化するシュート内シンク-ソースバランスにより、個葉は光合成や被食防衛、連年着花を回避する花成抑制など様々な生理作用を変化させている可能性がある。これらの生理作用の制御には、エピジェネティクス機序を担う長鎖ノンコーディング(Lnc)RNAの関与が予想される。本研究は、ブナ陽樹冠を対象に、未着花年と着花年(2013年~2018年)の7月の個葉におけるmRNAとLncRNAの比較トランスクリプトーム解析を行い、生殖成長が個葉の生理作用に及ぼすエピジェネティック機序を検討する。転写を確認したLncRNAの遺伝子数は3886であった。高発現の遺伝子数は129(mRNA: 119, LncRNA: 10)、低発現は211(mRNA: 193, LncRNA: 18)であった。遺伝子オントロジー(GO)解析では、高発現のGOが94種、低発現のGOが78種であった。着花の年変動と関連したGOは、遺伝子サイレンシング、DNAメチル化やクロマチンによるエピジェネティック制御に関するGO、花成に関わるGOが認められた。光合成と被食防衛を直接的に司るGOは認められなかった。以上、生殖成長が個葉の生理機能に及ぼす影響について考察する。 |
著者氏名 | ○斎藤秀之1 ・ 多田杏佳2 ・ 田嶋健人3 ・ 前田唯眞3 ・ 和田尚之3,4 |
著者所属 | 1北海道大学大学院農学研究院 ・ 2北海道大学農学部 ・ 3北海道大学大学院農学院 ・ 4北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場 |
キーワード | 長鎖ノンコーディングRNA, 葉, ブナ |
Key word | long non-coding RNA, leaf, Fagus crenata |