講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

日付	2024年3月10日
開始時刻	ポスター発表
会場名	532
講演番号	PG-28
発表題目	土壌乾燥ストレスによるスギ苗木の回帰不能点について Threshold of irreversible damage in Cryptomeria japonica seedlings under drought
所属	森林総合研究所
要旨本文	植栽後まもない若齢林においてスギの枯死率が⾼く、降水量の減少や温度上昇など極端な気象イベントにより深刻化するおそれがある。適切な森林管理や将来の樹木枯死予測を行う上で、スギ苗の環境ストレス応答の理解を深めることが重要である。本研究では、スギの苗⽊への潅⽔停⽌による乾燥処理とその後の再潅⽔処理によって、⼟壌乾燥ストレスの進⾏・回復の過程における水分生理特性とガス交換特性の応答パターンを調査し、再潅⽔しても個体枯死を免れられない閾値（point of no return）を明らかにすることを目的とした。人工気象室で実施したスギポット苗の土壌乾燥実験において、土壌乾燥が進むとスギは気孔を素早く閉じて水分損失を抑制すること、また、シュートの水ポテンシャルや葉の含水率、針葉の電解質漏出率、Fv/Fmなどの複数の生理指標が枯死閾値となることが明らかになった。特に、シュートの水ポテンシャルが-3.5MPaを下回ると、再潅水しても回復せずに枯死する個体が多く、枯死閾値として活用できることが示唆された。また、枯死閾値を超える前後で樹幹の組織では仮道管の水切れだけでなく樹皮の脱水が生じており、これが枯死に関連することが示唆された。
著者氏名	○Saiki, Shin-Taro ・ 原山尚徳 ・ 上村章 ・ 香山雅純 ・ 飛田博順
著者所属	国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所植物生態研究領域
キーワード	土壌乾燥, 樹木枯死, 回帰不能点, スギ
Key word	Drought, Tree death, Point of no retrun, Cryptomeria Japonica