第135回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
生理部門[Tree Physiology]
日付 | 2024年3月8日 |
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開始時刻 | ポスター発表 |
会場名 | 531 |
講演番号 | PG-9(学生ポスター賞審査対象) |
発表題目 | 細根呼吸速度の樹種間比較:非構造性炭水化物の季節変化からの探求 Comparison of root respiration rate in woody plants: exploring from seasonal variation in non-structural carbohydrates |
所属 | 信州大学 |
要旨本文 | 糖やデンプンといった非構造性炭水化物(NSC)は樹木の生理機能に重要な役割を果たしているが、NSCの季節変化が細根の成長や資源獲得に関わる呼吸速度をどのように制御しているかについては明らかになっていない。本研究は亜高山帯林の異なる標高に共通して生育する2樹種を対象に、細根NSCの貯蔵機能の変化が根呼吸に与える影響の解明を目的とした。調査は乗鞍岳の標高2000mと高木限界の2500mで行った。常緑針葉樹のオオシラビソと落葉広葉樹のダケカンバを対象とし、2000mでは6-10月、標高2500mでは7-9月に細根の呼吸測度と糖濃度とデンプン濃度の季節変化を評価した。根呼吸速度は温度に対し指数関数的に増加したが、その温度感受性(Q10)は種間で異なる標高変化を示した。2000mで両樹種の根呼吸は同等のQ10を示したが、高木限界でオオシラビソのQ10は低くなり成長期を通じて糖濃度は高く、ダケカンバのQ10は高くなり糖濃度は低かった。高木限界でオオシラビソは常時高い糖濃度を維持することでストレス耐性を高めると同時に、一定の呼吸速度を維持できる細根を形成する。一方ダケカンバは積極的に糖を炭素源として利用することで根呼吸の高い温度感受性を実現している。 |
著者氏名 | ○橋本裕生1 ・ 増本泰河2 ・ 伊藤拓生1 ・ 高橋耕一1,2 ・ 牧田直樹1,2 |
著者所属 | 1信州大学大学院総合理工学研究科 ・ 2信州大学大学院総合医理工学研究科 |
キーワード | 可溶性糖, デンプン, 亜高山帯林, 環境応答, 余剰炭素利用 |
Key word | Soluble sugar, Starch, Subalpine forest, Environmental response, Surplus carbon use |