第135回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
植物生態部門[Forest Ecology]
日付 | 2024年3月8日 |
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開始時刻 | ポスター発表 |
会場名 | 532 |
講演番号 | PH-29(学生ポスター賞審査対象) |
発表題目 | ブナのマスティングが林床光環境と下層木の成長に与える影響 Masting impact on light environment and stem growth of understory trees in Fagus crenata |
所属 | 静岡大学 |
要旨本文 | ブナは豊作時に多くの資源を種子生産に投資するため,葉面積やシュート伸長成長が低下する。そのため,マスティング時には林冠のギャップ率が上昇し,林床の光環境が改善すると予想される。さらにマスティングで生じるギャップの空間分布は,倒木で生じるギャップのような樹冠の欠落による粗いギャップではなく,樹冠全体に細かいギャップが分散すると考えられる。そのため,光飽和点以下の中庸の光強度の頻度が高くなり,下層木の成長を促すと考えた。本研究は,マスティングによる林床光環境と下層木の肥大成長の関係を評価した。調査地は新潟県苗場山の標高550m,900m,1500mにあるブナ固定長期試験地であり,全天空写真の撮影,幹の肥大成長の計測,リタートラップ法による葉面積調査を行った。2022年は全サイトで豊作,2023年は凶作であった。豊作年のギャップ率は凶作年と比べ,約2.5倍上昇した。マスティングで生じたギャップは,倒木によるギャップと比べ,同様のギャップ率でもサンフレックの継続時間が短かった。林冠の閉鎖した550m試験地では豊作年とその翌年で肥大成長量が増加したが,閉鎖していない1500m試験地ではそうした傾向は見られなかった。 |
著者氏名 | ○大谷紀一1 ・ 韓慶民2 ・ 上村真由子3 ・ 水永博己1 ・ 楢本正明1 ・ 飯尾淳弘1 |
著者所属 | 1静岡大学農学部 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所植物生態研究領域 ・ 3日本大学生物資源科学部 |
キーワード | ブナ, マスティング, 光環境, 下層木, 幹成長 |
Key word | Fagus crenata, masting, light environment, understory tree, stem growth |