講演詳細

立地部門[Forest Environment]

日付	2024年3月8日
開始時刻	ポスター発表
会場名	532
講演番号	PI-1（学生ポスター賞審査対象）
発表題目	九州北部の森林流域における大気窒素沈着量の減少下での高い河川硝酸塩濃度 Stream nitrate concentration remains high despite decrease in atmospheric nitrogen in forested watershed, western Japan
所属	九州大学
要旨本文	森林流域における河川水中の化学成分は大気沈着量の長期的変化に影響を受けるが、日本での研究はまだ限られている。本研究では、大気沈着量のトレンドを把握するために、1992年から2021年までの福岡市における大気中の硫黄（S）および窒素（N）沈着量の公開データを解析した。さらに大気沈着量の変化に対する河川水中の化学成分の応答性を評価するために、1986年に取った11の小流域における河川水中の化学成分濃度の報告例を2023年に取ったデータと比較した。福岡市の大気S・N沈着量は1990年代から2000年代半ばにかけて増加し、その後2021年までに1990年代と同程度に減った。河川水中の硫酸塩濃度は1986年よりも2023年の方が有意に低かった。これに対して、河川水中の硝酸塩濃度は1986年よりも2023年の方が有意に高かった。対イオンとしてのCa+濃度も1986年より2023年の方が高かった。PLSR分析の結果から、調査地のスギ林の面積が多いことと、30年程度経ち現在は成熟したスギ林がほとんどであることが関係していると考えられた。この研究から、河川水中の硝酸塩濃度に影響を与える要因には、大気沈着量の変化だけでなく、人工林の成熟等植生の影響も含まれることがわかった。
著者氏名	○李周強1 ・ 付東川1 ・ 笠原玉青2 ・ 智和正明3
著者所属	1九州大学大学院生物資源環境科学府 ・ 2九州大学農学部 ・ 3九州大学農学部附属演習林
キーワード	大気沈着, 河川水質, 針葉樹人工林
Key word	Atmospheric deposition, Stream water quality, Coniferous plantation